永久に
「痛むのか?」
心配そうに眉を寄せて、ブファスが聞く。
琉々はフルフルと、首を横に振った。涙がポロポロ落ちる。
痛むわよ、心が、こんなにも。
「なら泣くな」
ブファスは空に置いた手を泳がせる。心もとなく動く指。
「お前が泣くと、俺は···」
琉々はブファスを見る。···何···よ。
ブファスは手をギュっと握って降ろした。
「お前の泣き顔は不細工だ、見るに耐えん」
琉々はポカポカとブファスを叩いた。
「馬鹿っ、馬鹿っ!ブファスの大馬鹿っ!」
ブファスはうっすらと笑った。そしてすぐに顔を歪ませる。
「つ···」
は!っと、琉々は離れる。
「ご、ごめんなさい」
ブファスは琉々の頭に手を置いた。
「大丈夫だから。気にするな」
小高い山の、鳥居の下。二人は並んで座っている。
空には大きなお月さま。まん丸く二人を照らしていた。
「お願いごと···」
琉々が呟く。
ブファスは遠くを見ている。
琉々はブファスに向き直る。
「お願いごとは、叶うかな?ブファスを許してって、お願いしてみようかな」
ブファスは首を振った。
「俺は悪魔だ。願いは叶えられん。そういう力は持っていない」
琉々は、心なしブファスに近づいた。
「貴方に、そこまで大きい願いを叶えてもらおうとは思っていないわ。できることだけで、いいのよ」
「例えば?」
ブファスは琉々を見る。琉々は頬に指を当て、う〜んと唸った。
「ずっと、私と一緒にいて。とか?」
ブファスは、じぃーっと琉々を見た。それはもう穴が開きそうな程、ずーっと見つめた。
琉々はなんだか恥ずかしくなって
「な、な、なによ。悪魔神なんでしょ。そのくらいできないの?」
と、ツンと横を向いた。
「帰るぞ」
ブファスはそう言うと、琉々の腕を掴んで紅い風を起こした。
家に着くとブファスは隣にいて、ぶわっと舞い上がり屋根に登った。
琉々は家の中から2階に上がり、ベランダから屋根を見上げた。
スト、とブファスがベランダに降りてくる。
「貴方、どこにいるつもりなの?」
ブファスは空を指差した。
「屋根だ」
琉々は頭を抱えた。
「こんな冬の寒空の中、外で寝ようと言うの?風邪をひいてしまうわ!」
ブファスは首をひねる。
「風邪?」
琉々は頷く。
「外は寒いでしょう?夜はもっと冷えるでしょう?こうして外にいたら、病気が体に入ってきて負けてしまうのよ?」
ブファスはグイ、と琉々の腕を両端から掴んで持ち上げた。
「家に入れ」
琉々は焦る。
「わ、や、浮かんでるっ。ブ、ブファスも一緒に中に···っ」
パシン。窓が閉められた。
「もう···っ」
ブファスは一緒にいてくれた。
あの日から、白い生物も来なければ、ブファスが傷だらけになることもなかった。
ブファスは琉々の隣を歩き、琉々が建物に入ると、ぶわっと浮いて屋根に登る。
「見て、ブファス。かわいい犬!」
琉々は、隣にいるブファスの袖を掴むと白いチワワを指差した。
ちょうど隣を過ぎていくサラリーマンの男の人が、不審そうに琉々を見る。
ブファスは人には見えないんだった。
琉々は、つまり私は超でかい独り言を言ったってこと?と思い至り顔を染めた。
チワワは、これでもかって程吠えたくった。
リードをひく飼い主も困り顔だ。
「怖がりなの。ごめんなさいね。ここまで鳴くこともないんだけど···」
琉々は苦笑いで、ブファスの袖を引きその場を去る。
「小さい動物が好きなら」
ブファスが口を開いた。
「俺は傍にはいられん。俺は奴らにしてみたら捕食者だから」
琉々はブファスの腕にしがみついた。
「ブファスがいるからそれでいい」
ブファスはあさっての方向を見てため息をついた。
季節が巡り、春になる。
遠慮がちな白い梅が咲き、ポツポツと薄ピンクの色が見え始めると、街は一斉に桜色に染まる。
ブファスは屋根の上で遠くを見る。
「ブっファス〜、お〜い」
ベランダに出てきて琉々が両手を振る。
スト、とベランダに降り立ちブファスが言う。
「なんだ」
琉々は背中に小さなリュックサックをしょい、いつもと違ってズボンを履いていた。
そしてブファスに両手を差し出すと
「ね、抱っこして空に飛んで?空からのお花見!駄目?」
と笑った。
「お花見?」
ブファスは怪訝な顔をする。
琉々は頷く。
「そうよ、今から教えてあげるから」
ブファスは琉々を抱き上げる。そして少し屈むと空へと飛び立つ。
「怖いんじゃなかったのか」
ブファスが言うと琉々はブファスにギュっとしがみつき、すぐ傍にあるブファスの顔を見た。
「ブファスなら平気よ。絶対安全だってわかるもの」
そして、少し唾を飲み込み下を見る。
「ねぇ、ほら。下を見て?ピンクの桜の花がたくさん咲いてるでしょう?」
ブファスも下を見る。
「ピンク?」
え〜、と、琉々はブファスを見る。
「わからないの?こんなにたくさん咲いているのに」
ブファスは琉々を見た。とても近くで二人の視線が合わさる。
「俺には白く見える」
え、と、琉々は下を見た。確かに、遠く離れ、建物や木々の黒い間に咲く桜は、ピンクというより白く光って見えた。
「ほんとだ···遠くから見ると白いのね。近くで見るとね、ピンクなの。とてもかわいい花なのよ」
ブファスは相変わらず琉々を見つめたままだ。下を見る琉々は気づかない。
「お前のようだ」
ふぇ、と琉々はブファスを見る。
「え、や、やだ、何。私、白い?え?ピンク?あ、あはは、やだなぁブファスったら」
「子ぶたもピンクだ」
ちょっと、なんで桜知らないのに豚は知ってんのよ。ぶぅ。
ブファスは琉々を優しく抱き、市内いっぱいの桜を見せるため高く飛ぶ。
ぶる···と、琉々の体が震えた。桜の咲き誇るこの季節。空の上はまだ寒い。
その震えは、ピッタリ体をつけているブファスにも届く。
「寒いのか」
ブファスが聞く。琉々は、まだブファスにくっついていたくて首を振る。
「う、ううん。大丈夫」
「降りるぞ」
ブファスは体を下に向けた。
「わ、ちょ、ちょっと待って。ブファス、降りるならちゃんと探して」
ブファスは一度止まり琉々を見た。
「探す?」
琉々は下を見ながら頷いた。
「そう。お弁当を食べるの。一番たくさん桜がある所に降りたいわ」
ブファスは「そうか」と言うと下を見る。そしてふわっと降り始めた。
ブファスが降り立ったのは鳥居のある山の上だった。
「たくさんって、言ったじゃない···」
たった一本の桜の木の前で、琉々は立ち尽くす。
花見が盛況のこの季節でも、付近に人影は全くない。
それはそれは大きな桜だった。枝を大きく横に広げ、自身の重みで幹は少し曲がり、それでも空高く花を誇る。
「なんだ」
ブファスは後ろから声をかけた。
「これが一番、たくさん花がついていたぞ」
琉々は、ぶ、と吹き出す。
「そっか、そうか。うん。本当だわ。桜が、いっぱい」
琉々は振り返り、ブファスに飛びついた。
「ブファス、ありがとう。綺麗な桜だわ」
ブファスは自身の首にぶら下がる琉々を、どうしたらいいかわからず、両手を肩のあたりまで上げたまま立ちすくんでいた。
桜が終わり、通りのハナミズキが咲き始めた頃
いつでも遠くを見ているブファスがポツリと言った。
「ここは、平和だ」
琉々は首を傾げる。
そうかしら?今朝のニュースでも、事件はいろいろ起きていた。なんの問題も起こらない日なんてない。
「血の臭いがしない」
ブファスは遠くを見ている。
琉々はブファスを見つめた。
貴方の生きていた世界は、そんなにも残虐なの?
そんなにいつでも、血を流していたの?
そんな世界、悲しいわ···。
ブファスは琉々を見る。
そして、ふ、と笑って、手をあげる。
その手を優しく琉々の頬に当て、琉々の溢れる涙を拭ってやった。
「お前は、もう大丈夫だ」
琉々は目を瞑って、頬を撫でるブファスの手を両手で包んだ。
大きな手。優しい手。たくさん人を殺した、手。
「俺は自分の世界に戻る」
ぱち、と琉々は目を開けた。
目の前にブファスの笑顔がある。
「お前が、平和な場所で幸せに暮らせて良かった。願いが叶った。俺は役目を果たさなければ」
琉々は、ギュっとブファスの手を握る。
「役目って、何」
「人の怨嗟をこの身に受けることだ」
フルフル、と、琉々は首を振った。フルフル、フルフル。
「私の願いを、叶えてないわ。もっとずっと一緒にいたい」
「お前はもう、この世界の人間だ。平和に生き、幸せになれ」
やだ、ブファス、嫌よっ!
ぶわっ!!
紅い風が吹き上がる。
琉々は一人、立ちすくんだ。
ベシ。
机に突っ伏し窓を見ている琉々のほっぺに、真子が雑誌をはたきつけた。
「あ〜ら、いやだ。机かと思っちゃったわ」
おほほほ、と口に手を当て笑う真子。
その雑誌を取り上げる佳奈。
「っもう!琉々大丈夫?お〜い、琉々?」
佳奈が琉々の顔を覗き込む。
真子と佳奈は、顔を見合わせため息をついた。
真子が雑誌を開き中を見る。
「今月はハナミズキ特集ね」
佳奈は両手を重ねて顔の横に持ってきた。
「ハナミズキ!私好きよ。ピンクの色がかわいいわよね」
真子は雑誌から目を離さずに
「え〜?なんか、鼻水みたいじゃない、名前」
と言う。
佳奈は、なんてことを言うのよ〜、と目をつぶっている。
「へぇ、ハナミズキって、ドックウッドとも言うんだって」
真子が言うと、佳奈は雑誌を覗き込む。
「ドックって、犬?」
犬、犬はいいの。好きだけど。別にいなくたって構わないの。
「そ〜、だね。なんだろ、木の皮を使うんじゃない?」
木を、切るわ。貴方の居場所を作りたいの。
「キリストの十字架って、ハナミズキの木で作られた?だってさ!へぇ〜知らなかった」
いつまで、どこまで、十字架を背負うの。
佳奈は感心したように記事を読んだ。
「ハナミズキの花は十字の形をしている、確かに、そうだわ。かわいい形だと思ったのに。なんだか怖いわね、ね、琉々」
はっ。二人は黙る。
琉々はぽたぽたと涙を流していた。
お布団に入り、目を瞑る。そして
ふ、と、目を開ける。
目の前に優しい笑顔。
白い、白い笑顔。
「ラグエルさん···助けて、ください」
琉々は目の前にいる優しげな笑顔の男性に話しかけた。
「お前が僕に会いたがる、その理由は予想がついたよ」
琉々は両手を組んで祈るように言う。
「ブファスの所に連れてってください。ブファスと一緒にいたいの···」
ラグエルは困った顔をする。
「お前は天使として生まれ、禁忌を犯し堕天使となり、あいつに願われ人間となった。あそこの世界では生きられない」
琉々は目を見開く。
「ブファスに、願われ···?でも、ブファスは、自分には願いを叶える力がないと言っていたわ。いつ願ったんですか?」
ラグエルは口に手を当て少し考えているようだった。
「『願いの天使』に願った内容は台帳に記録され、天使界に住む者であれば誰でも閲覧できる。しかし、お前はもうここの住人ではない」
琉々はラグエルを掴んだ。
「天使に願った?なぜ、どうやって···。だ、代償が必要なんでしょう?私、ですか?ブファスから代償を取り上げたのは私ですか!?」
ラグエルは眉を寄せて琉々を見る。
「困った子だね。僕も失言だったけど。内緒だよ。あいつが願った相手は、リリス。堕天使となったお前を処刑する為お前たちの前に現れた、戦闘に特化した天使だ」
リリス···。なんか、背筋がゾクゾクする。赤い髪、白い瞳孔、私を貫く白い、腕···。
「あいつはもう何年も、人々から攻撃を受けるばかりで反撃をしなかった。戦闘能力は全盛期の1/10もなかっただろう。リリス相手じゃ、なすすべもなくやられただろうね。血まみれで倒れていたから。あいつの願いはこうだ」
おれのルルーシェを、
どうか、平和で幸せな場所で、
生きさせてくれ
ラグエルは困った顔で、琉々の涙を拭う。
「だ、代償は···」
ラグエルは黙る。琉々はラグエルの手を掴む。
ギュっと、痛いくらいに握る。
「代償は、なんですか。それも台帳に載ってますか!?」
今にも立ち上がり、台帳を確認しに行きそうな琉々の勢いに、ラグエルはため息をつき口を開いた。
「代償は、お前たち『二人の関係性』だ。だからお前たちはお互いの記憶がない。更にお前は、平和な世界での生活に不必要な天使としてのすべての記憶がなくなったんだ」
ラグエルは琉々をそっと立たせる。
「さぁ、もうおうちへお帰り。お前のいたい世界はここではない。僕もそれはわかっているよ」
琉々はラグエルに縋り付く。
「お、お願い。ブファスに会いたいの。ブファスの所へ連れてってください!」
必死な懇願。眉を寄せ、両手を組み、焼き付けるように凝視する瞳。
あんなに綺麗な水色だったのに。今は濁った茶色い目。
ラグエルはため息をつく。
「僕はどんどんあいつが嫌いになる」
そう呟き、ラグエルは人差し指を立てた。
「約束しておくれ。少しだけだ。ずっとはいられないよ。それが約束できるなら願いを聞くよ」
琉々は頷く他なかった。
空は錆びたような色をして、雲はどんより暗く湿ったように垂れ込めている。
ラグエルは注意して琉々を大地に降ろした。
どこか遠くで猛り声が聞こえているような気がする。
なんて、寒々しい所なの···。
琉々は、こわごわと辺りを見回した。
はっ
琉々は、全身の肉が上に向かってとげとげ飛んでいくような感覚に襲われた。
「いやぁぁぁぁ!!!」
そこにいたのは、ブファスだと思う。
たぶん、そうだと思う。それか黒いゴミ袋。
全身の血液が沸騰し逆流し、沸き立った。
怒りが込み上げ口から鼻から、目からまでほとばしった。
「誰がこんなことをっ!!」
ふ、と、黒い瞳がわずかに光る。
『怒るな』
琉々は、ブファスの声が聞こえた気がした。
『怨嗟は回る。怨念は巡る。俺のことで怒ってはいけない』
琉々は両手を口に当てる。彼の願いは、出すことではなく飲み込むこと。それはただの人間の娘となった琉々には、大きな、大きな塊だった。
ごくん、と飲み下す。琉々はまたたく間に涙を零す。
「貴方は、なんて、馬鹿なのよ···」
琉々はそうして、ブファスに深く口づける。
何度も、何度も、口づける。いくら口づけても琉々の涙は止まらない。
やっと顔の判別がつき、琉々はブファスを自分の膝の上に乗せれるようにまでなった。
そっと頬を撫でる。白い、白い頬。黒く、柔らかな髪。私の、愛しい人。
「ラグエルさん」
琉々は表情のない顔で言う。
「私の何を持ってってもいいから、どうかブファスを救ってください」
ラグエルはため息をつく。
「言うと思った」
琉々は、ブファスを膝に乗せたままラグエルを見上げる。
「じゃなきゃ、私はここでブファスを癒やし続けるわ。死んだって構わない」
ぶわ···っ!
白い風が膨らみ、弾けた。
ラグエルからものすごいエネルギーがほとばしる。白い風が、外へ、琉々へと向かってくる。
琉々は悲鳴を上げ、身を挺して守るようにブファスに覆いかぶさった。
「おまえたちはいつでも繰り返す。自身を犠牲にし相手の幸せだけを願う。だから繰り返す。いい加減に気づけ。おまえが!」
瞳を白く光らせ、髪を振り乱し、ラグエルは琉々を指差す。
「死ねば、またそいつが願う!そしてまたおまえが願うのか!」
琉々は恐ろしさのあまり喉が干上がったが、声を裏返しながらも叫んだ。
「私はブファスを愛してる!共に生きたいに決まってるわ!でも自身を捧げることしか、もうできないのよ!!!」
ふ、と、頭に手が乗る。
先程まで琉々の周りを囲んでいた怒りの白いエネルギーが、糸のようにほつれ、ちぎれ、散り散りになっていく。
ラグエルはいつもの慈愛の微笑みをたたえ、琉々の髪をそっと撫ぜる。
「言えるじゃないか。愛しの妹の願いを叶えるのが、いつでも兄の役目だろう」
琉々は、覆いかぶさっていたブファスの胸から、え、と、ラグエルを見上げた。
ラグエルは白い生き物をひらひら出し、琉々とブファスを優しく包んだ。
「可愛い我が妹。僕もお前を愛してる、心から。どうか忘れないで、おくれ」
遠い昔に見たことがある笑顔だった。懐かしい···どこかで見ていた笑顔···。琉々は目を細めながらもラグエルを見つめる。
お兄···様···。
パァーっと、周りが強く白く光る。
あまりの眩しさに、琉々は気を失った。
目が覚めると鳥居の下だった。
琉々は、ブファスを下敷きにして気を失っていた。
「はっ、やだ。ごめんブファス」
そっと呟いてブファスの上から降りて横に座る。
う〜ん、とブファスは自分の顔に腕をもってきて擦った。
うっすらと目を開ける。黒い瞳が覗いている。
「ブファス、どこか痛い所はない?」
仰向けのまま、腕で額のあたりを隠しながら、ぼーっと琉々を見ていたブファスが、はっと目を見開く。
ガバッと飛び起きて琉々の肩を掴む。
「何してる」
びっくりした琉々は、それでもブファスの顔を見て、落ち着かせるようにその頬を包んだ。
「ブファス、大丈夫よ。ここは鳥居だから。······ブ、ブファス、貴方···」
ブファスは周りを見回し確認している。
眉が寄ってて怒ってる。
でも琉々はそれどころじゃなかった。
「大変、ブファス、背中の翼が、ないわ···」
え、とブファスは片腕を上げて覗き込む。
驚愕の顔を琉々に向ける。
「何を取られた」
プルプル、と琉々は首を振る。
「わ、私願ってないわ。あ、貴方を人間になんて、願ってない···」
「どうやって俺の所まで来たんだ。どうやってここに?ラグエルか?」
琉々は、え、と止まる。
「ラグエル?って、誰?」
ブファスがピタ、と止まる。
ギギギ、とゆっくり琉々に、向き直り、琉々の肩を両手で掴む。
眉をギュウっと寄せ、琉々の肩を掴んだまま視線をあっちこっちに彷徨わせた。
そして、やがて小刻みに頷きだす。
琉々にはさっぱり意味がわからなくて、ただ、目の前のブファスを見つめる事しかできなかった。
ブファスは、そろそろ···と琉々の背に腕を回す。
「あの野郎···」
と呟くと、ブファスは琉々を強く抱きしめた。
琉々はうろたえながらもブファスの背に腕を回す。
「なに、わかったの?ブファス。ラグエルって、誰?」
ブファスは琉々の髪に顔を埋め
「変態だ」
と唸った。
明日、説明あとがき(釈明会見)を更新いたします。
本編はこれにて終了です。
意味不明の物語にお付き合いいただきましてありがとうございました。




