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ステラ

六七五年一月二十四日


とある村の裕福な家に、ステラと言う名の少女が生まれた。少女の髪は美しい真っ黒な髪とエメラルドのような緑の目を持っていた。


その一ヶ月後。

六七五年二月十八日


ステラの家の隣にアリスと言う名の少女が生まれた。

その少女は、桃色に白が若干入った可愛らしい髪と碧い大きな母親譲りの瞳を持っていた。


六七九年


ステラとアリスは家が隣だったので、親混じりでよく二人で遊んでいた。


ステラの父親が、ステラに言った。


「ステラ。」


「なぁに?お父さん」


「しばらく街へ行って、稼いで、小麦や衣類を買ってくるよ」


「えぇ〜 それだと一ヶ月くらいかかるの?」


「まぁ。一ヶ月以内には帰ってくるから」


「うん!村のためだもんね!でも早く帰ってきてね」


「あぁ、わかってるよ。アリス、ステラのことを頼むよ。」


「わかったぁ!」


「いってらっしゃい!お父さん!」


そうして、ステラは父を見送った。


ステラとアリスが生まれ育ったペシュル村は、とても自然豊かな村だ。

近くの街までは歩いて五日程かかってしまう位の。

村の人たちは村でひっそりと暮らしていた。


ただ、食物だけは補えなかった。

野菜などはどうにかなるとして、小麦などはここの村では全く育たなかった。

家畜も飼っているが、あまりにも数が少なかった。


そこで村の人達は、街へ買い出しへ行くことになった。

片道五日ほど。行って帰ってくるのに十日はかかる。

残りの二十日は、街で村の物を売って稼いだり、本来の目的の村に必要なものを調達する。


無事に街へ行って帰ってきたら一週間程、旅に出た男性たちには休暇が与えられる。

宴会などで盛り上がり、酒を勢いよく飲んだり。その一週間は男達にとって夢のような時間だ。


しかし、村の男性たちはそれを嫌がった。

一ヶ月間ほど。と言う長い期間のせいもあるがそれとは別に違うこともあった。

街へ行く道中のことだ。

あそこには凶暴な魔物が、数え切れないほどいる。魔法使い相手でも、倒せない程の強い力を持つ魔物もいる。


そんなことを、四歳のうちから知っているステラは不安になった。

一方、アリスの父親は王族に使える者だったからあまりアリスには会えないのだ。


それを思い出して、アリスはいいなと思ってしまった事をステラは撤回する。

父が近くにいるだけで幸せなのだと。きっと、アリスは自分の父に会いたがってるだろう。




父が街へ行って二十七日目のことだった。

突然の大雨が、ペシュル村とその付近の森を襲った。

その大雨は、村に被害を及ぼした。

殆どの農作物がダメになった。


その大雨は不幸にも、ステラの父親達が帰路として使う森にも被害があった。

森の中では、雨などにより水の力を頼りとする魔物がいた。

その魔物は雨が降るなり、凶暴化し街へ行ったペシュル村の男性達を襲った。


その事を知らずに村にいるステラは、「きっとお父さんは帰ってくるの」と唱えながら母と、祖母と、アリス一家と、大雨の中村で待っていた。



父が街へ行って二十九日目のこと。

街へ行った男性陣が帰ってこないということで、残る男性と女性で捜索を開始した。

大雨の被害があったから、不安で仕方無いのだ。

捜索は朝方。魔物の数が減っている頃に開始された。

ステラは大急ぎで、森の奥へ行った。


「待って!ステラ!そんなに急がないでよー」


「だって...!お父さんが心配なの」


「わかってるけど、ちょっと落ち着いて。まだ魔物がいるかもしれないよ」


「うん...わかってる」


ステラとアリスは手を繋ぎ、森の奥へ一緒に行った。

進むに連れ、朝方なのに薄暗くなり二人は不安になって行った。


「ねぇ...アリス」


「?」


「これって............ち?」


「えっ?」


道に、ぽつぽつと血が落ちていた。

これにステラは「まさか、まさか」という言葉が脳内に回った。

ステラは急に立ち上がり、血のある方向へ行った。


そこには、魔物に食いちぎられた男達の死体があった。

やっぱりステラの父親も含まれていた。


「あ...あ...あ」


追いついたアリスも、目の前の状況を信じられていなかった。


「おとうさあああああぁん、いやだあああっ」


ステラは大声で泣き叫んだ。

優しかった父親が死んでしまった。

まさかと思ったけど死んでしまった。

それは四歳の少女にとって、残酷でしか無い事だった。


ステラの大声により、捜索をしていた他の村の人もステラの場所へやってきた。

その悲惨な有様に一同は驚愕したが、それも予想の範囲だった。

死体はペシュル村へ持ち帰り、男達が街で買った荷物も回収をした。

幸い、荷物は魔物に食い荒らされていなかった。


その翌日、村で葬儀が行われた。

死亡者三十名。街へ出かけた男達全員が襲われ命を落とした。

小さな村で、力仕事ができた三十名を無くしたのはかなり痛かった。



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