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また会って、ふぁんたじー

「ここは...?」


「どこでしょう」


あの日死んだリナとハナの二人は、無意識のうちに手を取り合って二人で歩いていた。

真っ黒い部屋に行き着いて、こんな状況になっていた。


「そういえば」


「何ですか?」


「どうして死んだの?あの被害は私だけで良かった」


「甘いですね。ハナ。貴方がいないと生きてけません」


「は?ななななな何言ってるの?」


「貴方がいないとこの世界はつまらないことに気づきました。貴方がいないとやってけません。無理です、なにせ本人が言うのだからそうでしょう」


「う...んん?」


「まぁ、そんなことです。ていうか、私達今どこにいるのでしょうか?天国でしょうか、地獄でしょうか」


「さぁ...?」


「私は自殺みたいなものですからね。自殺はよくありませんから下手したら地獄行きですね私。」


「そうなの?でも、ここまでリナが来てくれたんだからきっと大丈夫だよ。」


「そうだと信じたいですね。」


ハナが、ぎゅっとリナの手を強く握った。

リナも、ぎゅっとハナの握り返した。



「すっ...すみません!遅れちゃいました!」


ふと、黒い部屋に女の子の声が響いた。

その姿はまだ幼く、着ているものが白の薄いワンピース一枚。


「おや。可愛らしいですね」


「ね。」


「私の名前はリィーラ!女神です!」


「女神...ですか...?」


「うん! そーだよ。貴方たちが死んじゃったから、私が貴方たちの処分を決めるんだ!」


「しょ...処分?」


ハナがおどおどしくリィーラに聞いた。


「とりあえず説明するけど...貴方たちは死んじゃったのでこれから転生するか、天国に行くか、地獄に行くかを決めてもらうね」


「転生と天国はともかく、地獄って...?」


「地獄は、スリルを求めてる人にいつも行ってもらってるよ。案外人気で、激辛だけどすごく旨いラーメン店みたいな感じ。」


「わかりやすい例え...?」


「天国はどうなんでしょうか?」


「天国というと、正直言って何にも無いよ!最初は、ご飯を好きなだけ食べても太らないとか、欲しいものがあってもお金を気にしずに買えるとか。色々良いことがありすぎたんだよ....」


「なんとなく察しはつきます。何にもすることが無くなった?」


「そうなの!案外天国なんてつまんねーなとか言われる始末で...。最近地獄とかの方が人気上がってるし」


「それはお気の毒ですね。」


「転生は?」


リナの言葉を遮りリィーラにハナは問いかける。


「んっとね...転生は、異世界に転生して貰います!」


「ほう。異世界ですか」


「そう。日本みたいなところじゃなくて、日本で言うふぁんたじーみないな世界に転生して貰います。」


「ふぁんたじー?」


「剣とか使う騎士や、魔法を使う魔女とか。その他いっぱいです!」


「おおおおぉっ!」


異世界の話題に食いついたのはハナだった。

「あぁ。そうか、そういえばそうゆうの好きだったな」とリナは今更思い出す。


「ねぇねぇ、リナ!私異世界行きたいな!」


「そう言うと思いましたよ。まぁ、ハナが行くのならば良いでしょう。私も行きたいです。」


「じゃあ二人共異世界転生ということでいいのかな?」


「うん」


「はい」


「おっけー!でも、ここから条件を出すからそれを呑んでくれたらね」


「条件、ですか。いいでしょう聞かせてください」


「貴方たちの記憶をフォーマットします!」


「フォーマット?」


「削除という意味ですよ」


「ただし、十四歳まで。十四歳の誕生日に貴方たちの前世の記憶を呼び起こすの!」


「それに意味はあるの?」


「うん。前世の記憶を残したままだったら貴方たちは楽しく幼少期を残せないでしょう?」


「そうですね...。一理ありますね。」


「条件はそれだけだから。いいかな?」


リナとハナは頷く。


「じゃあ後残り時間一分残しておくから、二人で好きなだけ駄弁ってていいよ!」



「ハナ。私達、また会えるでしょうか」


「逢えるよ。きっと」


「十四歳になったら記憶が戻りますね。」


「うん、耐えられるかな」


「耐えられますよ。きっと」


「その時は二人で一緒にまた集まろう」


「はい。当たり前ですね」


もうすぐ一分がたつ。

リナとハナのあの記憶は十四歳まで出会えない。

ほんのちょっとのお別れだ。


またリナと会えるといい。

ハナは何度でもそう思った。


「じゃあ、今度こそお別れですね」


「うん。またね」


「ばいばいです」


その瞬間、眩しい光が二人を襲った。



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