神隠し
自意識過剰って言われたので、気を付けます。 以上ハナでした。
現在ハナとリナが通っている学校は、2年生の数が少し少ない。3クラスだ。
だから噂が広まるのも速かった。
「ねぇ知ってる?『神隠し』の噂」
「あぁ、聞いたことある!なんか1年生が被害にあったとか?」
「えぇ!?私は、他の学校の子が神隠しされたって聞いたよ?」
みたいな感じで、2年(特に女子)の間に『神隠し』の噂は広まった。
「『神隠し』ですか...少しみなさん頭を冷やされた方がいいと思います。」
「最近噂になってる。リナはそういうの好きじゃないよね。」
「はい。聞いてて馬鹿馬鹿しいと感じます。」
「ドライだなぁ。もう少し柔らかくなればいいのに。」
「これでも大分柔らかくなりましたが」
「へぇ。そうには見えない。」
リナとハナの会話に目立った様子はなかった。
噂というものは過ぎれば、自然に収まるものだが今回はそうとは行かなかった。
逆に、どんどん広まり大きくなった。
次第に学校全体に知れ渡り、生徒は愚か教師たちも大体知っていた。
度々開かれる集会で、生活指導の先生が「そんな噂に惑わされないでください。」などと、説教じみた注意をしていたが所詮無駄だった。
噂が流行り、はや一ヶ月が過ぎようとした時、噂に進展が起こった。
クラスメイトの「ユウナ」が行方不明になったのだ。
両親によると塾から帰ってきていないのできっと塾の帰り道で行方が分からなくなったと聞いた。
余談だが、この私立中学は中高一貫なので大体塾に行かずとも高校に進学できるのだ。
きっと、行く理由は成績を保つためだろう。どんどんテストは難しくなる学校だ。
このユウナ行方不明事件に、真相はあの噂だろうと言う声は後をたたなかった。
警察は捜査を進めているが、進展は無かった。
ユウナは、そこまで愛されてはいなかった。
最初の頃は大勢の友達と親し気に話す姿は見たが、次第にユウナの性格。というか本性が見え始めたのだろう。ユウナの周りに人は減っていた。
「ねぇ、リナ。」
「何でしょうか」
「この事件おかしいと思わない?」
「何がですか。」
「だって、噂とピンポイントでユウナ行方不明事件が起こってる。これは狙ってるとしか思えないと思うの。」
「行方不明事件なんて、少なくないと思いますよ。ここはお嬢様学校の中の名門ですし、財産を狙って私達の学校の生徒を人質にして、その生徒の親を脅し金を攫う。 そういったケースは多々あります。私も被害者です。」
「確かにそうだったけどさぁ...」
リナとハナが仲良くなり始めた頃、学校の帰り道でリナが誘拐されかけたのだ。
幸いにも、その隣にハナが居たので手持ちの折りたたみ式高性能ナイフをポケットから取り出し、犯人の腕に一撃を見舞った事はリナとハナの友情を深めたのだ。
ハナはかなり怒られたが、犯人も無事捕まったので丸く収まった。
「ねぇ、リナ。私」
「はい」
「私、ユウナを探したいんだけどどう思う?」
「一人で行ってきていいですよ」
「え?リナもだよ?」
「はい?」
「一人じゃ心細いし、リナがいた方が活力出るから!」
「意味わかりません。」
「ここは、この前の見返りとして...ね?」
ハナの強いお願いに、リナも断りきれず
「しょうがないですね。少しだけですよ?」
そう言ったリナの後ろには、雲で隠れてた太陽が顔を覗かせていた。