33 白いツバサ 流転転生 本編28
サクラスに言われた通り、凛水の首飾りを持って魔法陣の上に乗る。
そして、皆がそれぞれ魔法を使うと、床に刻まれていた魔法陣が輝きだした。
光が徐々に強くなっていく。
緑花「綺麗」
選「これで、この世界は救われるんだな」
光が溢れる中で、敵を倒しきったらしいエアロ達がその場に駆けつける。
多少の怪我はしているものの、無事だったようで凄く安心した。
エアロ「皆さん! とうとうやってくださったんですね。ありがとうございます」
選「ああ、これできっと大丈夫だ。いままで世話になったな」
エアロ「いいえ、こちらこそです。貴方達はこの世界の救世主です。本当に何とお礼を異って良いのか分かりません」
選「救世主だなんて大げさだ。俺たちはエアロやこの世界の人に助けられてここまできただから」
多くの兵士たちが、感謝の言葉を述べる中、魔法陣から放つ光はどんどん強くなっていき、周囲が見えないほどになっていく。
緑花「これでお別れになるなんて寂しいわね。元気でね」
未利「まあ、大変だったけど。貴重な体験ができたと思えば別にいいし」
啓区「ほんとにねー。別の世界に来るなんて、一生に一度もないだろうしねー」
奈亜「奈亜、楽しかったの。たくさん思い出ができて嬉しいの」
視界が白一色に塗りつぶされて意識が途切れそうになっていく中で、エアロ達がその世界で上手くやって行けるようにと祈った。
そして、元の世界に戻る途中で選は夢の様な物を見た。
それは、エアロ達がいた世界で剣を持って活動する一人の剣士の人生の様な物だった。
その剣士は最後は倒れてしまうのだが、その世界の事をとても大切に思っていて、生まれ変わっても守って行けるようにとそう強く願っていた。その人物の名前はラグナ。
……もしかして、その生まれ変わりが俺なのかもな。
緑花「選……、ちょっと大丈夫? なかなか起きないけど」
元の世界に戻った選は緑花に呼びかけられて目を覚ます。
選「ん、ああ夢だったのか」
緑花「やっと起きた。みんな目が覚めたのに、選だけ眠ったままだったから心配したじゃない」
選「そうだったのか、心配かけて悪かった」
周囲を見回すと、緑花の言葉通りに他のクラスメイト達は起きているようで、口々に感動の言葉を喋ったり風景を感慨深げに見つめたりしている。
そこは異世界に転移する前にいた元の教室だった。どうやら本当に無事に戻ってこれたらしい。
世界を救う事が出来て、全員無事に戻って来る事が出来た。改めてその事実に、安堵のため息を吐く。
緑花「夢って言ってたけど、何か見てたの?」
選「ん、まあちょっとな」
緑花「どんなものなの?」
緑花の疑問に思うのは、選に任された役割、為すべき事についてだ。
あの世界に召喚されて、危機に陥っている人たちに出会い救う事は、おそらくずっと前から選に課せられた役割で、ラグナという人物の強い願いが引き起こした、起きるべくして起こった必然の軌跡だったのだ。
選「それは、ある一人の剣士の話だな。大切な世界を守ろうとすごく頑張って、世界が危なくなったら守りたいって思うような、そんな尊敬できる一人の人間の物語だった」




