26 白いツバサ 流転転生 本編21
エアロの発言にどういう事かと問いかけようとすれば、他の兵士たちが警戒の声を上げた。
兵士「魔物だ、来るぞ」
周囲にはそんな影など見当たらない。なら一体どこから……と思っていると何と来たのは海の中からだった。盲点だ。
エアロ「水中の敵と戦うのは不利です。一気に駆け抜けますよ、皆さん」
選「うわっ」
エアロが言うや否や。コケトリーの速さがいきなり上がった。
バシャバシャバシャーと泳いでいたのが、バシャシャシャシャーッと言う感じになっている。
選「は、速っ!」
緑花「乗ったことないけどこれ、モーターボートと同じくらい早いんじゃないの!」
風を切って進むどころかほとんど風と一体になってるみたいな速度だった。
心なしかコケトリーの目つきが先程より鋭くなってワイルドになっているような気がする。
しかし、海中にいる化け物達も、化け物達でこちらに必死に追いつこうとする。
未利「うわっ、何か魚みたいなのが跳ねたっ」
啓区「わー、凄ーい。噛まれたら腕とか足とかちぎれちゃいそうな立派な歯だねー」
菜亜「カチカチしながらぴょーんってしてたの。みんな歯がキラーンてしてたの」
飛んだり跳ねたりの魚を避けるために、急激な方向転換をするコケトリー。
乗っている方は振り落とされないように必死だ。
緑花「油断したら、落っこちちゃいそうだわ」
選「そうなった時の事は、考えたくないな」
先ほどエアロが言ったように、選び達を載せたコケトリーは速さを維持したまま右へ左へ超人的な回避運動をこなしていく。速さのプロで回避のプロだった。凄い。
そうして、海の上を進んで行くのだが、一向にそれらしい遺跡の姿は見えない。
選「なあ、あとどれくらいなんだ」
エアロ「もうすぐです」
疑問をぶつけるものの、もうすぐらしい建物はどこにも見えない。
しかし、首を傾げていると先頭を進んでいた兵士が、何かを唱え始めた。
兵士「エクストラ・マギ・レリーズ」
すると、何もないと思っていた空間に突如純白の遺跡が姿を現した。
エアロ「魔法でこうやって隠してたんです」




