22 白いツバサ 流転転生 本編18
家が燃えた原因は押し入った物盗りによる放火らしい。
終止刻の時期が来た事で悲観的になった事が動機だったとか聞いた。
ここ最近は少しづつだが、そういう犯罪が増えているのだと、集まった人々から聞いた話だ。
平和な街に見えても、表向きはそう見えるだけで、実際はそうじゃないのだと思い知らされた出来事だった。
女性「ああ良かった。ありがとうございます! 本当にありがとうございます!」
選「無事で良かったよな」
緑花「あんなに大変な事があったのに、まだ眠ってるなんて。この子、大物になるわね、きっと」
赤ん坊を抱いて、感謝の言葉を述べる女生と二、三事やり取りをした後、選達はすぐにその場から離れた。
あのままあそこに留まっていれば事情聴取などで、時間を費やしてしまい面倒な事になると思ったからだ。
コリー「話の方は私から伝えておきますから、選さん達は前に進む事だけを考えてください。それが私達の役目、成すべき事ですから」
成すべき事、かそう言えばコヨミ姫もそんな様なこと言っていたな。
人にはそれぞれやるべき事がある、みたいに。
そんな事を考えていると、緑花が怒ったような調子で話しかけて来た。
緑花「もう、考えなしに行動する癖、どうにかならないのかしら。……無理よね、どうにかならないのよね。だって選だし」
疑問を投げかけて来たのだが自分で納得してしまったようだ。
色んな意味で返す言葉がない。
未利「まあ、慎重な選なんて選じゃないでしょ」
啓区「選はああやって物事に突っ込んで行くのが選なんだよー」
未利「その分、緑花がフォローしてやればいいんじゃないの? 幼なじみなんだし」
啓区「だねー。お似合いだと思うよー」
菜亜「菜亜、知ってるの。えっとご本さんに書いてあったの。助けたり助けかえしたりするのなの、えーっと……てきざいてきしょっていうの」
そう言う言葉を聞いていると、考えなしに行動するのが選の役目みたいに聞こえるのだが。
意見を求めて視線を緑花の方へと向ければ、何故か赤くなっている。
緑花「お似合い? ホントかしら」
選「緑花?」
緑花「そうかしら、うーんでも、……ごにょごにょ」
おーい。
駄目だ。戻ってこない。しばらく放置しておくしかないだろう。




