16 白いツバサ 流転転生 本編12
当然そのままで良いわけがない。
アルガラとカルガラが出て行った部屋の中で、輪になって集まり、午後の再試験に備えて相談することになった。
選「一体、どうやったらアレをクリアできるんだ」
緑花「クリアしようがない……ってことはないわよね。わざと難しい試験をだして私達を諦めさせようとしてるとか」
選「いや、それはないと思う。勘だけど。でもコヨミ姫の知り合い何だから悪い奴じゃないはずだろ」
緑花「そうかもしれないけど」
良い案はなかなか思いつかず時間だけが過ぎていく。
焦りが募っていくのを感じながら居並んだ面々がだんだん難しい表情になっていく中で……。
アルガラとカルガラが入ってきて、良い匂いが鼻をついた。
アルガラ「考えに詰まった時は、気分転換もする事も大事であろう」
カルガラ「空腹ではいざというとき力が出せぬのじゃ」
パンと野菜の入ったスープだ。
そう言えば昨日の夜も朝もご飯を食べてなかった。
三十人分の食事なんてすぐ用意できるわけないので、それは仕方がないのだが。
選達に用意するご飯の材料とかお金は大丈夫なのだろうか。
アルガラ「近所の住人たちが力を貸してくれての」
アルガラ「みな、ワシ等の知り合いじゃ。快く協力してくれたのじゃ」
アルガラ「この世界の命運を担わせてしまう事を心苦しく思っておった」
カルガラ「なので、できる事をしようということになったのじゃ」
もらった食事はお世辞にも豪華とは言えない。
だが、それはこの世界に生きる人たちの心が込められていた。
選「うまいな」
緑花「そうね、美味しいと思うわ」
そんなわけで腹ごしらえをして余裕ができたおかげか、選び達はある事を思い付いていた。
アルガラ「では、やるぞ」
カルガラ「気を引き締めてかかるのじゃ」
そして、午後からの試験。
二度目となる挑戦では選達は、輪になってフォーメーションをとった。
クラスメイトが並んで輪を作り、皆がそれぞれ外を向いて立てば、一方向だけに集中すれば良くなる。
選「うおりゃあっ!」
緑花「せえぇい!」
多少ダメージを被ったものの一撃さえ入れれば倒せるので、一回目の時よりもだいぶ楽だ。
そうやって一対一を繰り返していけば、あっという間に幻の敵は少なくなる。
未利「どりゃ、中々面白いこと考えるじゃんか」
啓区「えーい、ほんとだねー。これなら相手に囲まれる心配ないから目の前だけに集中できるねー」
奈亜「奈亜ケンカは好きじゃないけど、悪い事する子にはおしおきするの。ごめんなさいなの。めっなの、えいっなの」
そして、ほどなくして、幻覚の化け物は一つ残らず倒しきり、消え去った。
アルガラ「ふむ、良くやった。及第点であるな」
カルガラ「二回目でこの解を導き出したのならなかなか優秀だと言っていいのじゃ」
最高成績ではなかったらしいが、とりあえず試験は合格できたようでクラスメイト達はほっとする。




