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14 白いツバサ 流転転生 本編10



 ???


 化け物に襲われ危機に陥った城から脱出させられた選達は、無事に別の場所へと転移していた。


 だが、城に残してきて、今も戦っている兵士達は……。


 選「くそっ、俺にもっと力があれば……」

 緑花「選……」


 床に拳を叩きつけ、己の力の無さに憤り歯を食いしばる。


 選にもっと力があれば、もっと強ければコヨミ達を守って化物達を撃退できたはずだ。

 そう思っていると離れた所から声がかけられた。


 老人の声が二つだ。


 ???「さて、そろそろ話をしても良いか」

 ???「こんな夜遅くに人様の家に堂々と浸入とは大した度胸じゃな」


 そこで、選はようやく顔を上げる。

 不安そうに立っている周囲のクラスメイト達、その向こうに声の主はいた。


 そっくりな見た目の男の老人が二人並んで立っていた。

 たっぷりとした白いあごひげから、ゆったりとしたローブ、木材で作られたらしい杖と、何から何までまるで鏡に映った存在のようにそっくりだ。


 家という事は、選達はこの老人たちの家に転移させられたという事だ。

 という事は、コヨミ達と直前にした会話をした内容を考えれば、この人たちが選達に力をつけてくれる存在だという事になるが……。


 老人だよな。

 老人よね。


 目の前に立つ姿を見て首を傾げる選達だった。


 余裕ができてきたところで、周囲を見回してみるが、そこは家と呼ぶには少し無理があるような広さの部屋だ。ホールといった方がいいかもしれない。


 選「えっと、悪かった。実は色々あってだな……」


 取りあえず、騒がせた事は事実なので素直に謝って、足りない所を緑花に補ってもらいながらおおまかな事情を説明した。





 全てを話し終えると、老人二人は寸分の違いもなく同じ動作で頷いて見せる。

 二人というよりは、一人が分裂したと言われて方がしっくりくる気がする動作だ。


 ???「ふぅむ、なるほどなるほど」

 ???「そういう事情ならばワシ等がおぬしらの面倒を見るとするのじゃ」


 老人達は、そこに並ぶ選達を一人一人改めて眺めて、杖を床に一突きして名乗りを上げた。


 アルガラ「ワシ等は魔法を極めし大魔導士アルガラと」

 カルガラ「武器を極めし大予言士カルガラである」

 アルガラ・カルガラ「「コヨミ姫の頼みとあらば快く引き受よう」」


 二人の老人の自己紹介に驚く。

 老人にしか見えない見た目だが、大魔導士、大予言士と名乗るからにはそれなりに、この世界では凄い人間なのだろう。


 まさかそんな存在の元に送られるとは。


 選達だけではなく、他の生徒達も驚きの声を上げている。


 未利「ねえ、あれって本当だと思う?」

 啓区「そうだって言ってるならそうなんじゃないかねー」

 奈亜「ふぇ、未利ちゃん。人を疑うのはめっなの」


 一部ではそんな懐疑的な意見も出ているくらいだ。


 そんな様子にアルガラとカルガラは気分を害した様子もなく言葉を続ける。


 アルガラ「ふむ、おぬしらがそう思うのもむりはない」

 カルガラ「ならば証明してみせるのじゃ、ワシ等の力を」


 二人は杖をもう一度床に叩きつけカッと目を見開いた。

 その瞬間、周囲の景色が歪み、別の景色へと変わってしまった。


 選「い、一体何が起こったんだ?」

 緑花「転移、じゃないわよね」


 そこにあるのは、美しい花畑とどこまでも広がる草原、そして頭上には雲がゆったりと流れる青い空だった。

 そよ風が頬をなで、花の甘い匂いも感じる。


 アルガラ「これはワシ等の魔法だ。証明はこれで十分であろう」

 カルガラ「人間の感覚を騙す幻覚を使えるのは、世界広しと言えどワシ等二人だけじゃ。どうじゃ、これでも疑うか」


 クラスメイト達は目にした圧倒的光景にぶんぶんと首をふる。

 未利達も同様だ。


 選「俺達って、ひょっとしてとんでもない人の所に来たかもしれないな」

 緑花「激しく同意するわ」




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