03 白いツバサS 本編02
声が聞こえて、校舎が光に包まれた、と思ったら。
窓の向こうは見慣れた町の景色ではなく、別の景色だった。
「何だコレ」「どうなってるの」「一体何が起こったんだよ」
教室の中は大混乱だ。
選「考えてても仕方ないな。先生に相談するか」
緑花「そうね、今はどこにいるのかしら職員室とか?」
脅威の適応能力を見せる選と緑花が方針を決めて、教室のクラスメイトをなだめていく。
未利「普通もっと驚くでしょうに」
啓区「あの二人は考える事が苦手なんだよー」
未利「だからってさー」
啓区「まー、こんな事態ー、先生に聞いたところでどうにかなるのー? とは思うけどねー」
未利は二人の様子を信じられないような面持ちで見つめ啓区に愚痴っている。
なあ「どうしてなの? 皆、わーってなってるの」
なあはこの教室でただ一人何が起きたのか理解できていないようだった。
その空気の中で、校内放送が入る。
???『……誰か、……助け……、きゃわ(ゴツン)』
助けを求めているような放送を聞いて、教室を出ようとしていた選と、緑花が立ち止まる。
選「なあ緑花、今のって……」
緑花「ええ、あの子……よね。何でまた厄介ごとに首つっこんでるのよ、まったく」
その放送の声の主は、三年のクラスの生徒……緑花の妹だった。