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05 白いツバサ 流転転生 本編02


 選「うーん」


 体が痛い。


 意識を取り戻した時まっさきに思ったのはそんな事だった。

 選は身を起こす。

 石造りの冷たい地面が下にある。周囲も、見上げれば天井も石を積み上げられて作られている。

 太陽の光はなく、風も通らない。


 そこは、先程までいた教室ではなかった。

 気が付いたらまったく知らない場所で倒れていたのだ。


 選「どこだ、ここは」

 緑花「うーん、はっ……何ここ。どうしてあたし達こんなところにいるのよ」


 周囲で同じように倒れていたクラスメイト達が続々と起き上がる。

 皆、場所に心当たりはなく混乱していたり、不安そうにしたりしているようだ。

 よく分からないが、選達は知らない場所に移動してしまっている。


 選「とにかくずっと、ここにいても仕方ないよな。移動してみるか」


 いつまでもこんな所にいても、状況が変わるわけがない、と選は思うのだが、それに対して緑花が考えを話す。


 緑花「待って、下手に動かない方がいいんじゃないの? ここがどこだか分からないけど、ひょっとしたらあたし達を探してくれてる人がいるかもしれないし」

 選「でも、俺たちがここにいるってこと知ってる奴いるのか。よく分かんないけど、あの教室にいた人間しかここにはいないよな?」


 これがもっと外とか開けた場所からいどうしたならともかく、一つの部屋から移動したのではそもそもまだ気づかれてない可能性もある。


 選「困ったな、どうすればいいんだ」


 気が付いたら知らない場所に移動していた時の対処法なんて、考えた事なかったので、選達としては困るしかない。

 知らない場所で闇雲に動かない方がいいだろうか。


 これからの行動をどうするべきか迷っていると。


 遠くから何かが近づいてくるのが分かった。

 それは化物だ。


 カラスのような黒い羽を体中に纏って、赤い瞳が二つ輝き、鼻と口があるはずの部分には黒いくちばしがあった。

 足は鳥の足のようになっている。


「な、何だあれ」「やだ怖い」「化け物だ」


 異形の化け物はこちらに向かって真っすぐ向かってくる。

 その様子は友好的とは言い難く、むしろこちらに敵意を持っているようだった。

 この場でまともに戦えるのは自分達しかいない。何とかできるのも。


 選「緑花、やるぞ」

 緑花「分かったわ」

 選達は、クラスメイトを守る様に前に出て、幸いといっていいのか、そこらへんに落ちていた箒を手にして(強度としては不安だがないよりはまし)構えた。




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