10 白いツバサS 本編08
王座の間に学校の者が集まった後、コヨミは告げた。
コヨミ「この城はもう持ちません、私はこれから魔法を使ってあなたたちを逃がします。二度目になるのでコントロールに失敗する恐れがありますが、心配はいりません。私の命にかけてもあなた達を無事な場所に送り届けますので」
緑花「そんな、駄目よ。あたしたちも戦うわ」
選「そうだ、俺達も協力するぜ」
選と緑花の申し出を断ってコヨミは告げる。
コヨミ「私たちの世界の都合で呼び出してしまったのです。これ以上迷惑はかけられません。どうかご無事で」
緑花「そんな」
選「迷惑だなんて」
魔法が発動して、王座の間が光に包まれる。
コヨミ「どうか、この世界をお願いします」
崩れていく王座の間、コヨミの言葉を最後に、彼女以外の城にいた者達は転移されられた。
転移魔法は発動したが皆はバラバラの場所に飛ばされたようだった。
とりあえず一緒だった五人はとある家の裏手に立っている木に引っかかっていた。
未利「アタシ等は木の実じゃないっつーの」
啓区「おいしそうな木の実だったらいいなー」
なあ「ぴゃ、ぶらぶらーんしてるの」
緑花「ちょ、動かないで皆、何か落ちそう、うきゃあっ」
選「緑花、だいじょ……うわっ」
ドサドサドサドサドサッ。
五人は折り重なるように落下した。
???「君達、大丈夫かい」
近くに建っていた家の人間。
中年の男性が出てきて、心配そうに声をかけた。
未利「何とか」
啓区「一応はー」
なあ「きゅうう」
緑花「重いわね」
選「一番下の俺が一番重い」




