MAD
『いいかー?MADには、潤滑に入ってででこいよー』
花憐がそわそわしながら入る。
のがモニターで見える。
俺は近くで見たかった、と口の中で舌打ちをする。
数秒後に花憐が出てくる。
ぼんやりとしか見えないがモニター越しに興奮が伝わってきたので、魔獣奉仕型だったのだとわかる。
叫びたい衝動をこらえてじっと席に座ったであろう花憐を見ていると、もう100人くらいが終わったことに気がついた。
少し緊張。
そして
『じゃあお前で最後なー』
紅さくら先生が僕に言う。
強化型がいいとは言ったもののどっちでもいーや。と思い入る。
一瞬の沈黙。
『魔術q強化etavoidがko…んjmrんmgnぬkなmpeぅnwdoおom』
とMADが訳のわからないことを呟いた直後
眩い光とともにMADが爆発した。
ついてないな、と、そう思いつつ
俺の意識はそこで途切れた。
『よお、起きたか。』
目を覚ますと担任の紅さくら先生がいた。
見渡すとどうやらここは保健室らしい。
『まったく、創立してから初だぞ、MADが壊れるなんて。』
そうだった。俺はMADに意味不明な診断をされたあとに軽い爆発に巻き込まれたのだった。
『少し寝ていろ。寝れば治る程度の傷だ。』
どうやら診察してくれていたらしい。
言い方とは裏腹に心配が伝わってくる。
『ありがとうございます。でも、もう寝なくても大丈夫です。』
先生は少し俺の顔色を見ていたが、やがて無理はするなよ、と言って保健室を去っていった。
しばらくして教室に戻ると、紅さくら先生は既に話をしていた。
視線を感じながら小走りで席に戻る。
『えー、まあ多少の問題はあったとして……
先生の声が聞こえてくる。何人かがこちらを見てクスクス笑う。
……全員が自分自身のタイプを知れたわけだ。』
そうだった。俺は魔術強化型と診断されたのだ。
まあ確信は持てないが。
『明日からは早速、それぞれのタイプの魔術力の強化授業を行う。みんなしっかりと休養を取るように。あと、しばらくは先生の許可なしでの魔法は禁止だ。では解散。』
1000人以上もの人が一斉に立つ音が聞こえ、ようやく1日目にしては疲れすぎな学校が終わった。
『奏多!大丈夫!?怪我してない!?』
花憐が終わったあとすぐに俺の席まで走ってきて言う。
『ああ、なんとかかすり傷程度で済んだよ。先生が診察もしてくれたしな。』
『そーなんだ!良かった〜』
ほっ、と安心した顔で花憐が言う。
帰るか、と言う。花憐はうん!と言いつつ、今日起きたこと帰り道だけじゃ話しきれないよ〜、と笑う。
明日からはついに授業。今はクラスビリだけど、いつかはクラス一番の成績を取ってやるからな……
クラスビリの少年は意気込みながら、クラストップの少女と共に歩いていく。