六、
放課後。
護と月美は昨晩の疲れとこの日の授業の疲れとが相まって、半分、グロッキーな状態になっていた。
「お~い、生きて……るか?」
カフェテリアのテーブルに突っ伏している護と月美に、恐る恐るといったていで清が声をかけてきた。だが、護も月美もそれには全く気づくことができず、そのまま突っ伏していた。
清は二人のその様子を見て、話をすることも難しい状態にあることを悟り、そっとため息をついた。
「……保健室に連れてったほうがいいかな?」
そっとつぶやき、清は養護教員に許可をもらいに、保健室へと足を運んだ。
その道中、清は何人かの後輩とすれ違った。
「……ん?」
清はふと違和感を覚え、すれ違った後輩たちの方へ振り返る。だが、すでにその姿はなく、覚えた違和感もすでになくなっていたので、特に気にすることなく、再び保健室へと足を運んだ。
清とすれ違った後輩たちは、職員室に向かっていた。彼らの顔は、不安や恐怖、怒りや憎しみなどの感情が入り混じっている。職員室に向かっている理由、それはほかでもない。没収された携帯電話を返却してもらうためだった。
基本的に、月華学園は携帯電話を「持ち込むこと」は認めている。だが、学校内での使用や通学路での使用は認めていなかった。だが、それを知っていて、教師に隠れて携帯を使用する生徒は多くいる。もっとも、そう言った生徒はすぐに発見され、没収されてしまいのだが。
今回も携帯を没収された生徒たちが、それを返却してもらうためにこうして放課後、行きたくもないのに職員室に足を運んでいるのだ。
(……ちっ、めんどくさい)
生徒のうちの一人が聞こえない程度の音量で呟く。
携帯電話を使用している人間は、ほかにもいる。だというのに、なぜ、自分たちだけが摘発されなければならないのか。理不尽極まりない、という思いが、その言葉をつぶやかせていた。
――こんな学校、消えてしまえばいいのに……
そういえば、今流行しているまじないを教えてくれる占いサイトに、嫌なものを消すまじないがなかっただろうか。
生徒はそんな、物騒なことを考えながら、職員室の前に到着した。
数分後、生徒たちは教師からの説教を受けたあと、ようやく自分の持ち物を返却してもらった。だが、依然としてその顔は教師に対する憎悪の念が浮き彫りになっていた。
――こんな学校……いや、くそ教師どもを消すことができないかな……
一人がそんなことを考えていると、携帯に一通のメールが届いていた。
教師たちに見られないように携帯を開き、メールの内容を確認する。メールは、登録していた占いサイトからのメルマガのようだ。
内容は、新しいまじないが解放された、というものだった。
生徒は送られてきたメルマガに添付されていたリンクから、占いサイトへと飛び、まじないの内容を確認し、にやりと口角を上げた。
そこには、今まさに彼が望んでいたまじないが、「自分の嫌いな存在を消すまじない」が載せられていた。




