二、
護は話し込んでいる二人組の会話を聞くとなしに聞いていた。
どうやら、ちょうどいい具合に件の携帯サイトの内容の話をしているらしい。
「でさ、そのおまじないってのがあと二回占いを見ればわかるわけよ!」
「お前、今までいくつ占い見たんだ?」
「三つ」
「占い五個で見られるまじない、と……あ、これだな」
「な、もう知ってた?!」
「俺、占い十個は見てるからな」
「……そうとうだな」
二人の会話に護が唐突にツッコミを入れた。
突然、声をかけられたことに驚いたのだろうか、それとも予想もしない闖入者に唖然としているのだろうか、二人はしばらくの間、呆然と護を見つめていた。
その視線が少しばかり煩わしく思え、護は、見世物じゃないんだが、と言ってため息をつく。
「あ……あぁ、すまん」
「ごめん、土御門が声かけてくるのって珍しかったから」
「……ま、このあと雨が降らないことを祈っとけ」
護は口をへの字に曲げながら返す。
その言葉に、二人はかすかに微笑みながら、護に用件を問いただした。
「あぁ……そうだった。さっき話してた占いのこと、少し聞かせてくれないか?」
「そのことか……土御門は、占いって信じるほうだったか?」
「おみくじなら」
まさか自分が星詠みや式占をできることを彼らが知ったら、毎日、占いをせまられる羽目になるかもしれない。かといって、信じないと答えてしまうと、どのように返されるかわかったものではない。最悪、彼らから敵視される可能性もある。
そう言った意味で、護のこの答え方は、無難と言えるだろう。そして、実際に護はおみくじは信用している。嘘は言っていないので、おそらく変に勘ぐられることもないだろう。
「おみくじかよ!」
男子は笑いながらツッコミを入れ、携帯を差し出した。
その画面には確かに占いのサイトが表示されていた。そして、その履歴には彼に送られてきた占いの内容が事細かに記されている。その内容は、どれもおみくじの文句を読んでいるような感じで、具体的な行動の方針やアドバイスは一切書かれていない。
「へぇ……随分と本格的だな」
「だろ?で、実際にここに書かれていることに気をつけると、いいことあったんだよ!」
「……力説どうも。で、おまじないってのは?」
「おぅ、これよこれ」
そう言って、男子は再び携帯を弄り、おまじないが掲載されているページを護に見せた。
護はその画面を覗き込み、内容を読んでみる。そこには、怪我の治療や病気にかからないためのまじないや、怪我を早く治療するためのまじないが記されていた。
そして、そのまじないの内容を読むと、護は唸り声を上げる。
「これ、やりすぎに注意だな」
「……へ?」
「下手をすると、命を持ってかれる」
護の言葉に、偽りはない。
ここに記されているまじないの呪文、それはすべて「本物」だった。




