第十五話;思わぬ再会
今日は快晴だ。散歩するのもたまには悪くないかも。あたしは駅から劇場までの道のりをのんびりと歩いていた。
ポカポカして、すごく気持ちいい。室内に入った時に、逆に不快感を感じた程だ。
「すみません。小川内 俊さんって方いらっしゃいますか?」
とりあえず、チケット売り場のオジサンに、昨日聞いた拾い主の名前を尋ねてみる。
「お約束は?」
「はい。してます」
売り場のオジサンはファイルを取り出してパラパラと捲り出した。どうやら来客表のようなものらしい。
「お名前は?」
「あ……佐山です」
ずっとミミで居たから、本名はなんだか口にしてはいけないもののような気がしてしまう。なんでだろう、現実に引き戻されるような感覚に捕われて、怖い。
「はい、どうぞ。関係者パスです。これで中に入れますが、お帰りの際にはお返し下さい」
「はい。あの、どこに行けば……?」
「あそこのドアを通って、通路の突き当たり右側の部屋が控え室です」
オジサンは指を指しながら丁寧に教えてくれた。あたしはお礼を言って、控え室に向かう。パスは首から下げて、何だか特別っぽくてワクワクした。
――コンコン
「どうぞ〜」
よく通る女の人の声。役者さんの一人かな?舞台裏という物に人並みに興味を持っていたあたしは、逸る気持ちを抑えながらドアを開いた。
「失礼しま〜す」
部屋の中は思ったより狭くて、あたしは失礼極まりないことに内心がっかりしてしまった。鏡と椅子が三つずつと、壁際に細長いロッカーが五つ。それに、パイプ椅子がいくつか立掛けられていた。
「えっと、佐山さん……ですよね?お話伺ってます。実はアイツ、まだ来てないんですよ。少し座って待ってて下さい」
「はい」
ショートカットの女性は気さくな感じで、敬語を使い馴れてない風なのが可愛かった。
あたしが言われるがままに近くのパイプ椅子に座ると、まるで図ったようにドアが勢いよく開かれた。
それはもう、ドアが壊れそうなくらい思いっきりね。
「悪い、紗香!遅くなった!」
「俊。遅い!もう来てるわよ」
男が振り向く。あたしと、目が合う。
ん?この顔……どこかで……。
「「あ〜〜〜!!」」
気付いた時には、もう手遅れで。
これもまた、運命。