第十三話;キラキラ
それからまた車を走らせて、あたし達はディナーと洒落こんだ。
夜景の見えるレストラン。智くんは偶然見つけた様なふりしてたけど、あたし知ってるんだ。こーゆうトコは、予約無しじゃなかなか入れないんだよ。
周りはお洒落な紳士淑女ばかり。あたしもちょっと気取ってワインなんて頼んでみたりして。味なんて、わからないクセにね。
「智くん安月給なのに、こんな高そうなお店大丈夫?」
「そんなこと心配するなって。今日はミミが楽しんでくれればそれでいい」
智くんはいつも、あたしを安心させる魔法を簡単に使う。
夢かと思って、膝の上でコッソリ手の甲をつねった。しっかり痛かった、夢じゃない。
「……何オチ?」
「何?」
何って、こっちが訊きたいくらいです。
とりあえずお腹一杯食事を楽しんで、もう二度と見れないかもしれない綺麗な夜景も存分に楽しんだ。
「満足?」
「うんっ」
突然のペットサービスにあたしの頬は弛みっぱなしだ。家で二人で居るのも好きだけど、こんな夜はとびきり大好き!
大満足なあたしと何やらゴキゲンな智くん(機嫌が良くなきゃ絶対にお出掛けなんてしてくれないほど出無精)は、手を繋いで道を歩いた。何気無い会話をしながら、例えば今日の舞台の話とかを。また明日は分からないけど、あたし、すごくすごく幸せだった。
智くんの手は暖かい。大好きって、気持ちは拡がってくものなんだ。
智くんも、そうなのかな?もし智くんがあたしを好きになってくれたら、どうしようもない駄目女なあたしでも、自分を好きになれるかもしれない。智くんだけが、あたしの苦しみを解放できる。あたしの未来に光をともしてくれる人だから。
そして、智くんの携帯電話が鳴った。暗い夜道に静かなメロディ。
人を愛することの大切さを学んだ、月の無い夜の事……。