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第八話;彼女の方が一枚上手

〜第2R〜


「どこ行く?」

「智範が決めていいよ。私はどこでもいいから」

 2人が歩くその後ろを、あたしはテクテクついて歩く。

 あたしだって智くんの横を歩きたいっつーの!!

「あたしオナカ空いたなっ!」

 無理矢理話に割って入るあたし。かなり切ない……。

「じゃあ先に食事行こうか。静羽は何が食べたい?」

 あくまでもあたしを無視しようとする智くん。

 関わりたくないのは分かるけど、あまりにヒドすぎやしませんか?

 家じゃベタベタしたってちっとも怒らないくせに。

「私、優柔不断だから決められないの。ごめんね、直さなきゃって分かってるんだけど……」

「いいよ。じゃあ少し行ったらおいしい洋食屋があるからそこでいい?」

「うん。行きたいな!」

 ダメな女でごめんなさい、謙虚さアピールしてるワケですか?

 店に着いてからもことごとく2人の世界で、ついて来なきゃ良かったかな、なんて。

 それにしてもなんて完璧な人なんだろう。

 今日、今までの所、女の私から見てもイヤなところが一つも無いなんて……。

「で、お前は何にすんの?」

 うっわ、冷たいお言葉。

「……ハンバーグ」

 智くん、すかさずガキだなぁとバカにしてる視線をあたしによこした。

 あたしもすかさず“悪かったわね”とアイコンタクト。ちょっぴり嬉しかったりして。

 まぁ、確かにハンバーグはガキ臭かったかも……。

 対する(あたしが勝手に敵対してるだけ)静羽さんは冷製パスタ。なんかオシャレで且つヘルシー。

 美容にもいいなんてもしかして計算ずく!?

 テンション急激に下がってきた所で一旦パワーを充電してこようかな。

「あたし、ちょっとトイレ」

「あ、私も行こうかな。お手洗い」

 お手洗いって言うな!あたしのガキさ加減が際立つじゃない!!

 何故か便乗してきた静羽さんと気を使いつつ連れション。と言っても化粧直しだけど。横に並ばなくちゃならないのが更に辛い。

「響ちゃん、今高校生くらい?」

「はぁ……。そうですけど」

 年齢はね。

「学校は?家出って、大丈夫なの?」

 なんだ。この女、本当はあたしに帰って欲しいんだな。別にいい人じゃないや。

「大丈夫よ。そんな事より、静羽さん、それ、地じゃないでしょ?」

 一か八か、鎌を掛けてみようかな。幸い店の最も奥にあるトイレでだったら、どんなにイジワル言っても智くんには聞こえないから。

「はい?」

「お兄ちゃんの前だと猫被ってるでしょっていってんの」

「……そんなことないわよ?」

「ふ〜ん」

「なんか……嫌われちゃったかな?」

「別に。ただ、あたしブラコンだからさ、彼女とかちょっとウザイだけ」

(にっこり)

 さて、どうでるかな?

「つまり響ちゃんは、私に智範と別れて欲しいんだ?」

「え〜??こんなこと言いたくないけど〜……出来れば別れて欲しいなっ☆」

「無理♪」

 イヤミが飛び交うあたし達のバトル。笑顔なのに、火花散る散る夏日和。

「やっぱ猫被ってたんじゃん!!」

「違うわよ?智範の前では一番素敵な私を見せようと努力してるだけ。誰だってそのくらいするでしょう?それに別れろって言われて別れるバカが何処にいるのよ」

「あたしはそーゆー計算高い女大っ嫌いだからしないよ。ありのままを好きになって欲しいもん」

「ふ〜ん。ま、勝手にすれば?」

「性格悪〜い!あたし貴方に負ける気しなくなってきちゃった」

「響ちゃんもそうとう悪いと思うけど?ま、計算も出来ないガキにあたしが構うまでもないか。やっぱ女は少しくらいちゃっかりしてないとねぇ♪」

「お兄ちゃんだって計算高い女は嫌いだよ!兄妹だからね!!」

「なによ、所詮妹でしょう?一体どうしたいの?あたし達はお互い好きあって付き合ってるんだからね?」

 入るスキマは何処にも無いわよ、と威圧的な目付き。

「お兄ちゃんと、ずっと一緒にいたい……。その為には、あんたが邪魔なのよ!」

 今誓う、あたしこの女にだけは絶対負けない!

「ふ〜ん。響ちゃんはあたしの敵に回るんだ?智範の妹だからって容赦しないからね」


 闘志を燃やしつつ席に戻った。すぐ顔に出るあたし。ライバル宣言したての彼女は、顔色ひとつ変えずに爽やかな微笑みを浮かべている。

「もう料理届いてるぞ」

 智くんは、不思議そうにあたしと彼女を見ながら言った。

「ごめん、女同士で盛り上がっちゃって。ね〜響ちゃん♪」

 この切り替えの早さ、悔しいけれど見習いたいです。

 やはり、彼女の方が一枚上手。

 勝てる確率は万に一つもない……。だけど戦うんだ、それが女の意地ってもんでしょ!

2人のバトルはこの先もっともっとヒートアップしていく予定です。こうご期待(^U^)ノ~~~

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