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5月1日 青森県道
14:10
「ふぅ、なんとかまいたみたいだな」
「油断はするなよ。いつどこから狙われてるかわかんないからな」
「あんたもちゃんと周りを注意して見てなさいよ」
おれはそんな3人の大人の会話を羨ましく思い聞ていた。
たった数日前、数時間前に出会った大人達がこんなにも頼りになるとは思ってもみなかった。
おれとススムの知っている大人は、全ての事象を論理的にしか見ない、仕事が全ての母と、怖いもの知らずで協調性がなく、結果、左遷され覇気のなくなった父、といったように自分のことしか考えていない人が多かった。
しかし、この三人は違う。
ミドリカワさんとサトミさんは北海道での激戦の中、おれらを守ってここまで連れて来てくれた。
札幌、函館を突破し最後の難関の青函トンネルに車一台で飛び込んだ時はさすがに死を覚悟した。