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「大丈夫か、サトウくん。逆に混乱をきたすのでは?私は責任は取らんからな」
ササヤマ統括本部長が、自分には責任が直接及ばないよう一種の確認のようなものをしてきた。
この人はこうやって自分の責任を極力人になすりつけてここまで昇ってきていた。
もし、それにより成果が上がれば、それは自分の手柄にしうまくやってきていた。
私の当面の目標は、このササヤマを蹴落とし、自分が統括本部長になるというものだ。
そのために、万に一つも失敗は許されない。
常に正しい方の選択肢を選び、正しい選択肢がない場合は自分で正しい選択肢を切り開いてきた。
今回の場合、『鈴木狩り』の情報は政府が隠しても、1時間もすれば国民同士の情報網で瞬く間に広がっていくだろう。
また、その際、政府が情報を把握していなかったと思われる方がマイナスになる、と即座に考え、緊急メッセージ使用との判断に至った。