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『「くそっ…この状況を伝えるのがおれの仕事なら…
ふぅ。
おれはちょっと前に、少女とその母親が爆死するのを目の当たりにした。
泣きじゃくる少女を母親がしっかりと抱きしめていた。
しかし、その母親の手には雪玉が握られていた。
母親は震える手で雪玉を頭上に運んでいった。
母親の手の震えは肩、上半身、下半身へと広がり、体全体が大きく震えるのにそう時間はかからなかった。
母親の震えが少女に伝わったのだろうか、少女の泣き声が急に大きくなった。
おれはそんな二人に駆け寄ろうとした。
そんな中、一瞬母親の奮えが止まった。
そして、もう大丈夫だよというとても優しい声が聞こえた。
母親は少女に笑顔を見せると少女を両手で優しく包み込んだ。
雪玉は母親の手から離れ、一秒も経たない内に地面に落ち、少女と母親を吹き飛ばした。
最初は母親が娘を巻き込んで無理心中を図ったのかと思った。
しかし、そうではなかった。