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「先輩、なんか面白い情報入りましたよ」
そう言ったタカスギの手には数枚の写真が握られていた。
「囚人軍を裏切った奴が札幌の政府軍の中で暴れ回ってるみたいですよ。まだ確かな情報じゃないみたいですけど、逆に嵌められた可能性が高いみたいですよ」
タカスギが持ってきた写真を見ると、吹雪の中、政府軍と完全武装した囚人軍との戦闘の様子が写っていた。
撮影時間を見ると9:15となっていた。
「…やっぱ、なんか裏ありそうだなぁ」
「裏?ですか?裏って…」
「いや、わからねぇよ。なんかそんな気がするだけさ」
おれは写真を机の上に放り投げ、慌ただしく動き始めた本部を裏目に、ドカッと椅子に腰をおろし、送信用のモニターをいつものように眺めていた。