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「サトミ。サカモトが逃げた方向、政府軍の精鋭がいると見ていいよな。
おれらが向かう方向と同じとすると、函館に着くまでには政府軍と遭遇するってことか」
「あ?あんた急に何?なんか態度変わってない?まあ、いいけど。
単純に考えれば、サカモトの後を追って行くとすると、そこに政府軍がいるのはたしかね。どうする気?」
「突破するさ」
おれは間髪入れずに答えた。
「は?何言ってんの?頭おかしくなった?突破するって、そんなのできるわけないでしょ」
「だからやるんだよ。政府軍を突破できれば、後は多少は手薄になってるだろ。なんとか政府軍を突破さえすれば青函トンネルまであとわずかの距離になる」
「そうは言うけど、たとえ政府軍を突破することができても、青函トンネルは一本道。政府はそこにもしっかり警備隊をおいてるはずよ」
「どうにかなるさ。とりあえず、今は目先のことを一個一個片付けてくしかねぇんだよ」
サトミは呆れた顔で目線をおれから外したが、おれの迫力に根負けし、おれの言うことに従うこととなった。
「なんかいい案あるの?」
「あぁ。サカモトを使う」