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囚人軍の数は数万、数十万になっていたらしく、時計台から郊外に向かって行っても、そこら中で囚人達による宴会が開かれていた。
「なんか腑に落ちないな…」
サトミが冴えない表情でつぶやいた。
「これだけの囚人軍に対して、あれだけの守り…政府軍は札幌を死守するつもりはなかったのか?それとも囚人軍の主軸を集めた札幌侵攻組がすごかったのか…」
「たしかに一番激しい戦闘になるかと思ったのに、意外とすんなりいきましたよね」
戦闘が落ち着いたことにより生気を取り戻したマナブが後部座席から身体を乗り出してきた。
ススムはまだこの惨劇からは立ち直っていない。
「何かあるんですかね?政府軍の罠とか…」