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それよりも気になるのが、この女だ。
どっからどう見ても、エミコにしか見えない。
目も鼻も口も、もうエミコと言っても過言ではない。
髪型は違うが、エミコもこのくらい髪を切ればこうなるだろう。
唯一、根本的に違うところは声だった。
エミコはもう少し高い綺麗な声をしていた。
下品な大声も聞いたことはなかった。
囚人服を着ることもないだろう。
「ねぇ、その子達、気が付いたなら、早く逃げないとあたし達もやられるよ」
チラチラと顔を見ていたおれにその女性は言った。
「あ、ありがとうございます。こいつらススム、マナブといいます。助けてくれてありがとうございます」
「いや、そんなことはいいから、早く逃げたほうがいいんじゃないの?」
「すいません、あの、名…」
言いかけてる間に、女性は壊れた家のガレージ内にある車に向かっていた。