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急所をハズレ、苦悶の表情で倒れているものにはさらに容赦なく銃弾が浴びせられた。
囚人も一般市民も関係なく無差別の爆撃、銃撃が開始された。
おれは急ブレーキから、ギアをRに入れ、アクセルを思いきり踏み付けた。
タタタタタタッ
タタッ
カカッ
バリバリッ
助手席の窓ガラスが割れ、身体を小さくしてうずくまっているマナブに容赦なくガラスの雨が降り注いだ。
銃弾は助手席の窓ガラスだけでなく、運転席の窓ガラスも粉々にした。
身を屈め、カーナビの液晶パネルに映るバックモニターを見ながらハンドル操作をしていため、銃弾はおれの頭上ギリギリを通っていった。
「ススム!マナブ!だいじょぶかっ!?だいじょぶならそのまま屈んでろ!絶対頭上げんなよ!」
おれは頭を抱え、うずくまるマナブを横目に、さらにアクセルを踏んだ。
車はバックのまま加速し、逃げ惑う人と戦いに行く人の間をすり抜けて行く。
バックモニターからの情報は脳を通り越して、直接ハンドルを持つ腕とアクセル、ブレーキを踏む足に伝わっている。
がれきの山を急ハンドルで避けると、がれきの隙間から急に、囚人服を着た若い女性が飛び出してきたのがバックモニター越しに見えた。
その女性をうまく避けたつもりだった。