迷子の兎。
私は平凡な人間の割には波乱万丈な人生を送ってきたものだと思う。
小さい頃は体が弱くてとく入退院を繰り返していたし、幼稚園に入るまではよく風邪をひいた。風邪をひかなくなったと思えば忘れたころに軽く命にかかわる病気になったり、轢かれたり、撥ねられたり、落ちたり落とされたり・・・。怪我をほとんどしなかったことが不思議なほどだ。
だから、油断していたのかもしれない。足を踏み外して、目を閉じてしまった。衝撃に備えて身構えた。どうせ怪我はしないだろうと、たかをくくっていた。
―――ぽふっ
思ったより、軽い衝撃。
ちょ、おいおいおい、勘弁してくれよジョセフ。俺が落ちたところをどこだと思っているんだい?コンクリだぜ?コ・ン・ク・リ。3階のマイクラスルームから勢い余って落ちちまった音かい?そりゃぁないぜ。渾身のボケを全力でスルーされたような気分だ。
「・・・、」
だれかつっこんでくれ・・・。
さみしすぎる。
泣くぞこの野郎、泣いちゃうぞ馬鹿野郎
澪さんはさみしがり屋さんなんだぞ、ひとりじゃ死んじゃうんだぞ、うさぎさんなんだぞ。
・・・、とりあえず、森を探検してみようと思います。