表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

Love cat

「けっ…けんちゃーん!」勢いよく俺の部屋のドアを開け、こうが飛び込んできた。

「…Zzz。」こういう時は無視に限る。

「ちょっ!なんで無視なん!?起きてるでしょ!?」バシバシの俺の布団を叩く光。

「るっせーんだよ!大した用事もねぇくせに。それと犬飼いぬかい先生と呼べと何度も…。」いつもの説教をしようとすると…

「でも、オレだって同じ名字だし…って!そんなことよりまながっ…。」光がいつになく緊迫した表情を浮かべる。

「愛がどうした?…まぁた腹でも壊したか。」やれやれとベットから立ち上がると…

「ひっ…人になったんだよっ!」俺にすがる様に光が叫ぶ。

「…は?」「だ、か、ら!人間になったんだってば!」更に大声で喚く光。

「…。お前さ…、そりゃ漫画の読みすぎじゃねぇの?」マジで引いた。

「違うって!とにかく来て!」光が俺の冷たい視線にも動じず、俺の腕を無理矢理引っ張る。

愛とは、この犬飼動物病院で飼っているメス猫で、気が強いくせに、忠実なとこもある変わった性格をしている。それでも可愛いと思ってしまう俺はよっぽど飼い主バカだろう。


「愛ー?」愛のお気に入りの毛布を持ち上げると、そこには猫耳と尻尾の生えた少女が寝息をたてて寝ていた。

「ほら!嘘じゃない。」威張った様に言う光。

「…。光…ちょっと顔貸せ…。」目は少女から離さず言う。

「ん?」

バコッ

光が顔を俺に向けた瞬間思いっきり殴る。

「ったー!何で殴るの?」光が涙目で訴える。

「あ~やっぱり夢じゃないか。」うんうんとうなずきながら腕を組む。

「オレを無視しないで、けんちゃん!」赤くなった頬を擦りながら言う光。


そうこうしてるうちに少女が目を覚ました。目を擦りながら、俺たちの方を向く。

「え、えーっと…愛…?」光が遠慮がちに確かめる様に聞く。

「!!」尻尾と耳が立ち、少女の表情が明るくなった。


「服がいるな。」とりあえずオレのワイシャツを着せたが、ずっとこのままというわけにもいかない。愛は嬉しそうにシャツの匂いを嗅いでいるが。「なんで?愛はなんでも似合うから、サイズは大きくても賢ちゃんの服でいいじゃん。明日オレの服持ってこようか?賢ちゃんのよりサイズは小さいし。」のんきな発言をする光。

「バッカ。このままほっといてみろ。ムラムラすんだろ。…あ、いやその…。」思わず言わなくて良いことを口走ってしまう。

「…。村々って何?」光が首を傾げる。

「……。」

物心つく前から一緒に育った従兄弟だが、光がバカでよかったと初めて思った瞬間だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ