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第一話 星海絢夜は何日前からだっただろうか

何日前からだっただろうか。

文化祭が始まってほしくないと思ってしまったのは。

はじまったら終わってしまうとわかっていたから...


 僕は高校二年生だ。うちの学校のルールで高校三年生は学園祭に参加できない。これが終わったら学校が受験に駆り立ててくる。どうしようもないことだ。時が流れるのを止めることはできない。



 まぁそんなかっこよさげなことを言っても仕方がない。再来月の学園祭の前の期末試験と模試に向けて勉強でもするかな。そんなことを考えながら電車の中で単語帳を開く。

 僕は星海絢夜(ほしみあや)。私立相榻(あいしじ)高校二年生でβクラスに所属している。親に勧められてこの学校に進学したが割といい学校だと思う。

 相榻高校は普通の地方都市にある割と普通な進学校だ。強いて言うなら英語圏から先生を呼んでおり、英語しか話せないような先生も少なくなく、英語で授業をしているときもある。そんな事もあって生徒は英語をできる人が多く、英語に力を入れている学校と言っても差し支えないと思う。

 欠点として模試のときなど学校名を書く時、(しじ)が書けない。流石に最近は書けるようになった。意味は”こしかけ”。学校名は一緒に腰掛けに座るように仲良くあってほしいという意味から来ているらしい。

 さて学校についたら数学でもするかな。


 教室に入ると一人の女子が話しかけてきた。


「やっほー!絢夜!」

「朝日奈がこの時間にいるのは珍しいね」


 朝日奈こと朝日奈未織(あさひなみおり)は隣のαクラスの女子生徒で同じ理系クラスだ。初めて会ったのは中学一年生の時だった。最初に話したのはクラス全員に安いノートパソコンが配られたときだった。僕が英語の大文字を打つことができずに困っていたら助けてくれた。

 最初は明るい子ぐらいの印象だったが、その後高校一年生まではずっと一緒のクラスだったのもあり仲良くなった。

 高校二年生になるときのクラス替えで別のクラスになってしまって、これからは話すことも減るだろうと思っていたが、なんやかんやまだ一緒に過ごすことも多い。


「今日も塾の数学教えてよ」

「まかせろ」


 小学生の時から親に塾に入れられていたから勉強は割とできる方だ。こないだの模試でも学年1位だったし。数学は得意だが国語は苦手だ。よく小説は読む方なんだけどな...

 朝日奈も勉強はできる方だが少し不器用なところがあって数学は苦手な方らしい。英語も苦手なそうだが何故か海外の先生とはしょっちゅう話している。怖いくらい人と仲良くなりやすいんだなーと傍から見て思っている。


「この問題なんだけど」

「あーこれはxをsintで置き換えると...」


「今日もありがと!」

「ほいほーい」


 朝の会が始まるので朝日奈はαクラスに帰っていった。


「あっぶねー」

「よっ!」


 友達の藤川楓だ。いっつも遅刻ギリギリでくる。


「相変わらず早いな星海は」

「そっちが遅いだけだろ」

「試験勉強か〜。そろそろ始めないといけないのはわかってるんだけどね」

「そう言っていっつもやんないでしょ」

いつもと同じように会話をする。藤川は文系で、勉強の方はあれだがバスケ部の部長でみんなと仲良くしてる。

「おーい。朝の会始めるぞ」

「「は〜い!」」


 我らが先生の岩見先生がやってきた。怒るとびっくりするくらい怖い数学の先生だ。授業は意外とわかりやすいので生徒からの評判もいい。


「来週は中間試験が始まるから勉強は怠らないように。以上!」


 相変わらず端的だ。αクラスの山口先生はいつも話が長くて帰るのが遅くなると朝日奈がぼやいてた。この少しの時間は読書に当てるのが僕の日課だ。今日はミステリーでも読むかな。


「♪〜」


 チャイムがなったので読書は中断。最初の授業は物理か。文理別れての授業だし、移動するか。



 別段大したこともなく4時限目の数学になった。今日の数学は中間試験前最後で、ミニテストがある。


「調子はどう?絢夜」

「まぁまぁかな。そっちはどうなの?」

「最高だね」


 同じ理系の朝日奈が声をかけてきた。こないだの計算ミスは反省しているのだろうか。


「テスト始めるぞ〜」

 岩見先生がテスト開始の合図をする。

「はじめ!」

 大問1は普通の計算問題だ。計算ミスには気をつけよう。


 それは大問4を解いていたときだった。この問題が少し難しかったのも合って少し焦っていた。その時、隣の席の女子の消しゴムが落ちた。いや、落ちなかった。僕が空中でキャッチしたから。


 なぜかこちらの方向に消しゴムが落ちようとしていたのが見えた時、消しゴムの動きが異常に遅くなった。自分の動きも遅くなってはいたが、周りの風景も同じように遅かった。全員のシャーペンの動きが止まっているようだった。そんな状況に戸惑いながら、僕は余裕を持って空中の消しゴムを取った。


 そんな事があったのでその後は集中できるわけもなく、見直しもできずだった。2,3個間違えた気がする。昼休憩に入って、歩きながら考え続ける。突然能力を得るような作品は、漫画でもアニメでも小説でも色々あった。これが僕だったら慌てふためくだろうな〜。と思っていたけど以外に落ち着いたままだった。まずは能力の実験をしよう。勘違いかもしれないし...


「おーい。食堂行こうぜ」

「あー悪い。今日僕弁当」


 実験のために人の少ない図書室に向かった。途中声をかけてきた藤川には後で謝っておこう。


「さて、どうしようか...」

 まずは能力の再現だ。持ってきた消しゴムを眼の前から落とす。


 きた。

 時の流れが遅くなった。止まるほど遅くはないが、見間違えではありえないような遅さだ。自分の動きは遅くならないみたいなことはないようで。消しゴムは床に落ちていった。

 怖いなこれ。誰かに言うのはやめておこう。ろくに使い道もなさそうだな...なにか考えてみるか。


 そんなことを考えながら弁当を食べるために2-βに戻った。

こんにちは。惜夜あたらよです。

割と長めなお話を書いています。最初の十話は毎日投稿します。

どうぞ楽しんでいただけると幸いです。

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高校名あいしじって変わってる
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