ナポリタン(24.06.25)
灯台か塔の中か
とにかく狭い螺旋階段をひたすら下っていた
小さな窓からは夏の海が見える
駐輪場か地下道か
とにかく果てしない地下のトンネルを彷徨っていた
白いタイルの壁 煤と黴で暗いアーチ形の天井
日本か海外か
とにかくびっしり並んだバラックの通りを逃げまどっていた
既に火事が起こっているかこれから起こるのだ
都会か田舎か
とにかく目的地に着くために電車を乗り継いでいた
絶妙に駅名の漢字が読めない 乗り換えの検索方法が分からない
特に親しくもなかった同級生が目的地を告げる
ナポリタンの根源に辿り着け、と
それは日本? イタリア?
冬枯れの雑木林、行き止まりには煎餅を焼く母屋
見上げるほどの抽象画がパネルに並ぶ美術展
海辺のテーマパークの浮き輪を渡れば
カニの殻が海辺に投げ捨てられた赤い帆船の港町
カクテルは夕日色で綺麗だけれど言葉は分からない
楽しそうな人混みを縫ってまた別の場所へ行かなければ
迷ってどうしようもなくなったら目覚めの時
夢の裏の世界で休むのだ