3/3
転生したい
「やあ、紅一くん。元気だったかい?」
「はい。本田さん」
今日、紅一はカフェで元職場の先輩と食事をしていた。
仕事の時にお世話になった先輩と紅一は時々こうして遊んでいる。
「ところでさ、あのアニメは見たかい?」
「ああ、見ましたよ。あの異世界転生アニメ!すっごく面白かったですね」
本田とはアニメの話でよく盛り上がる。
「羨ましいですよね~、チート能力を神様から貰って異世界で無双する主人公」
「そうだね」
紅一は心から羨ましいと思っていた。
今の時代、異世界に転生するという物語はとても人気がある。
(その人気の理由は……誰もが今の人生を変えたいと思っているからかな?)
紅一も異世界に転生したいと思っている。
モンスターと戦いたい。
勇者として活躍したい。
変わりたい……変えた……今の人生を。
別に紅一は今の人生に不満があるわけじゃない。
だがどうしてもこのつまらない世界で生きたくないと彼は思ってしまっていた。
(生まれる世界を間違えたな)
ライトノベルやアニメのような刺激的な人生を送りたい。
そう思いながら、紅一は本田と楽しく会話をした。