3
カナメはゴーレムのスキルと名前を核の大きさ別に分けて紙に書きだした。
「さすがにスキルが覚えきらん。」
「別にいいんじゃないか?偵察はどいつでも一緒だぜ。」
やっと書き上げた紙を覗き込んでカズハがつまらなさそうに言い捨てる。
《お母さん大丈夫?》
「ロッカはかわいいねぇ。大丈夫疲れてないよ。」
足元に座り込んでいるロッカを撫でるとカナメは部屋の壁に紙を張り付ける。
「80人も子供がいるなんて不思議。」
カナメは張り付けた紙を撫でながら少しだけ笑った。
カナメが起きて1週間が過ぎた。大半の石ゴーレムはまた偵察に出たのだが小さな子供の声で囁くものだからカナメはかなり不安だったが。
ま、本人達が大丈夫と言ってるからいいんだけどさ、何かあったらカズハ達に迎えに行ってもらえばいいし。
と絶対的な信頼はイチカ達上級にはあった。
「5年で何か変わるかな?」
振り返りながらカナメはカズハをみるがカズハは固まって動かない。
「この世界はむずかしいよねぇ。きっとまた変わってるから母さんも覚悟がいるかも?」
コテントと首を倒して変わる事の何がいけないの、と聞かれてカナメも考える。
「生きやすくなってたらいいけど苦しんでるなら助けなきゃダメじゃない?セイシン様との使命も果たさなきゃだしね。」
「使命ねぇ。母さんここから出られないのにどうやって人を救うのかなぁ?」
「あ」
忘れていたとばかりにカナメが小さく声をあげて考え始めた。
「何が出来るかな?」
カナメは一人部屋から出ると歩きながら考える。
たくさん野菜育てて配る?
野菜が足りないから無理だ
王様に訴える?
人の話聞く王様いたら苦しんでないよね
外の世界にゴーレムを配置する?
成長しないからすぐ魔物と思われて排除される
「うーん。」
とりあえず外からの情報待ってから考えようかな。
元々深く考える事が苦手だったのもあり追いつめられるまで勉強もしないカナメだったのだ。
最初の石ゴーレムが聖域に帰ってきたのはそれから2週間ほどしてからだった。
「力の国の南にある砂の国が無くなった?」
イチカの問い掛けに石ゴーレムは何度も頷いている。
「砂の国って?」
カナメが石ゴーレムを撫でながらイチカを見上げると難しい顔をしてイチカが唸っていた。
「言の葉の国の西にある国なんだけど、北に力の国、南西に少し離れて光の国がある流通の要の国ですね。そこが無法地帯になると流通は止まるしかなりまずい。」
「後は知の国とどこ?」




