5
イチカと名前を付けて少し滑らかに動けるようになったゴーレムはあれから2度形成された。
「なんだかもう何のために木を集めてるかわからなくなってきたね。どうしようこの枯れ葉と枝。」
腕を組んで見つめるその先には両手を広げるより幅広くそしてカナメの胸ほど枝が積みあがっていた。悩みながら見つめているとスカートの先が2度引っ張られる。
「イチカ何?何か思いついたの?」
イチカは腕を伸ばすとカナメと手をつないで湧き水の辺りまで連れてきた。そしていくつか石を拾いカナメに渡す。それを何度も繰り返してカナメが持てなくなるとまた拠点に戻った。
「新しいベット作りたいの?また大きくなるのかな。わかった石と土集めるよ。」
カナメは嬉しそうにその日素材を集めてほんの少し取れる実を食べてイチカと寝ころんだ。
「人間は衣食住がないと生きていけないって言うけど人間やめても必要だよね。食べて寝なきゃ精神不安定になるよ。
イチカ明日楽しみだね。いつかお喋りできるといいな。」
カナメがそっと手を伸ばすとイチカもそっと指先に触れる。イチカが朝起きるようになってからの習慣だ。起きた時寝る時そっと二人は手を合わせた。
次の日カナメが起きたらイチカはもう起きていて布団用に用意した石と土はイチカによって捏ねられていた。
「イチカおはよう。まだ大きくなっていないね。形成してないからかな?」
イチカのベットの形を見ると人型のようになっていてカナメはイチカを見つめる。イチカはベットの横に転がると何度も起き上がりカナメを見てベットを叩く。
「なんだ?イチカは何が言いたいんだ?ベットが?寝る?起きる?んー??」
空気を読むのが苦手なカナメはそれから何度も質問をイチカに繰り返した。
「あ、もしかしてイチカの仲間が欲しいの?」
イチカは飛び上がってカナメをグルグル回る。
「そうか、ゴーレムがイチカだけなんて書いてないもんね。もしかしてたくさん作れるのかな?」
イチカは必死に石と土を指さしている。
「ねぇ、この子作ったらイチカいなくなったりとかはないよね?」
しゃがんで目線を合わせてカナメはイチカの石の手を握る。仲間が増えることはいいことだがもし、一つしか作れなかったらイチカがどうなるのかがカナメは心配だった。
イチカは小さな石を拾うと右手の上にのせてカナメにずいっと近付ける。まるでカナメがいつもしてる大丈夫と伝える様に。




