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「とりあえず君を私は毎日作ればいいんだね?今日は何しようかな」
よっと立ち上がって湧き水で日課を終わらせ、見回す。ここにきてからずっといい天気だし気候も春のようで寒くも暑くもない。
「雨が降るといけないからそれなりに住めるように準備とかしたいんだけど落ちてる木とか集めてみようか?」
足元に立つ小さな仲間に声を掛けると頭を揺らして歩き出した。
そして日々が何事もなく過ぎて、小さな仲間が5回目の形成された時引っ張られる力のようなものが減った気がした。カナメはその日も木やツルを集め湧き水の近くに積み重ねる。
いつもと違うのはゴーレムが寝るカナメの枯れ葉の布団の横に石を集め土を集めカナメのように横になったことだった。
「ゴーレムちゃんのお布団かな?いいね、明日もっと丈夫に作ろうね。」
翌朝いつものようにカナメがゴーレム形成と声を出すと昨日の倍体から何かが引っ張り出された。そして昨日ゴーレムが集めた石と土が無くなりひと回り大きくなったゴーレムがそこに立ち上がった。
「えー?びっくり、大きくなったね。」
ゴーレムはいつもと同じように指を少し大きくなった石で触ってきた。
「成長するんだー!うれしいな。いつか私と同じ大きさになるかな?それに昨日より少し意思の疎通が出来てる気がするんだけど?」
ゴーレムは大きく頭を揺らす。カナメは嬉しそうに笑って指先でゴーレムをつついた。
カナメのゴーレムはそれから2度大きく変化して今は腰ほどの大きさに育っていた。そして形成も3日に一度となり平和に過ごしていた。
「イチカってどう?ゴーレムちゃんの名前、ずっと考えていたんだ。」
ゴーレムは集めていた枯れ葉から手を放すとカナメを見上げた。顔に目も何もないけど確かに見上げる動きをしたゴーレムは両手をプルプルさせてカナメに抱き着いた。
「おっと、よかった?君の名前はイチカ。私のんー?家族になってくれるかな?」
ゴーレムが大きく頷くとピカリと輝いてほんの少し形が整った。ゴツゴツした腕や足が少しだが滑らかになった。
「名前付けたら成長するの?もっと早く気が付けばよかったなぁ。」
そして3日に一度だった形成は10日と大幅に伸びたのだった。
カナメがこの土地に来て3ヶ月が過ぎた時だった。




