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それから十日ほどして外で狩りをしているイチカ達からハルヒコが明日聖域に着くよとお知らせが入った。
「すぐに祭事が始まるのかな?」
「お父さん早く帰りたいって言ってたからすぐ始まると思う。」
ミツバが笑いながらイチカにねーと同意を求めている。
「思ったより早かったけど大丈夫かな?」
「あれだ、イチカ達が魔獣狩りしてたから出会わなかったんだろう。それで早くなった。」
アキラがジロッとトウヤを睨むとトウヤもやりすぎたかと呟いたがあまり重くは受け止めていないようだ。
「祭事始まるとここも何か影響するのかな?」
「その為に俺らがのこってるからな。カナメは心配しなくても大丈夫だ。」
トウヤが安心させるようにカナメに笑いかける。アキラも頷いている。
翌日午後ハルヒコ達は祭壇に到着し、そのまま祭事が始まったとナナキからイチカにメッセージが届いた。
「祭壇に聖域があるから近寄れないんだな。ここから出られないか。」
トウヤがふむふむと考えてる横でゴーレム達も真似をして聖域の外を見てふむふむと呟く。
「私にはハルヒコさん達見えないんだけどみんなは見えるの?」
「見えない。なんでだろうね?鳥の声は聞こえるのに人の声も音も聞こえない不思議。」
ミツバが首を傾げながらのぞくように外に近付くとアキラは襟を捕まえて後ろに下げた。
「ミツバは本気で頭出すだろ。やめろ外の人から見たら生首に見えるぞ。」
「楽しそうだね、それ。」
「ワクワクするな。誰かミツバ押さえててくれ。」
アキラがポイッとゴーレム達の方にミツバを投げるとヒマワリとモミジが両手を繋いだ。
すぐに終わるようではなかったからみんなで拠点に戻り夕食を作り食べてるとカナメは何かを感じて立ち上がった。
「聖域に他の人が入ったみたい。」
トウヤはすぐに立ち上がるとドアの横に置いてある剣を取ってドアの向こうを伺う。アキラもみんなを奥の部屋に隠してからトウヤの横に立った。
「カナメも。」
「隠れないよ。ここは私の家だよ。子供達を守るのは私の役目。」
テーブルの横に立っているカナメはドアを睨みつけてはいるが逃げたくてたまらなかった。
気配が近付いてくるのが分かるのはカナメだけだった。カナメは小さな声で2人に情報を報告しながらドアを見つめる。
そして声がかけられた。
「すいません。少し話を聞きたいのですが。」
ドアの向こうからは若い男の声が聞こえたのだった。




