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結局イチカ達が毎日レベルをあげるからカナメが落ち着かず次のゴーレムを作るのはハルヒコが神事から帰ってからゆっくりと始めることなりそうだった。
「主様。」
カナメが畑を眺めてるとふいに震える声が聞こえた。振り返ると家事担当の女の子が少し俯き気味にカナメを赤い顔で見つめてる。
「え?」
よく見ると木の陰でも不安そうに3人の女の子がこっちを見ている。
「主様、私達に名前つけてくれませんか?このまま不安定なの怖いんです。」
そうだった。
カナメは思い出した。
名前を付けてからイチカ達が成長したのを。
なんてことを忘れていたんだと思いながらも20年近く昔の事そんなに覚えてないの普通じゃない?と自分に言い訳をしながら4人に謝るのだった。
「ちゃんと考えてはいたんだよー。だけどごめんね。あなたはサクラ、調理がヒマワリで服飾がモミジ薬師がセツカだよ。」
4人はピカッと光ると涙をこぼしながらカナメに抱き着いた。昨日よりずっと子供らしい表情だ。
「ずっとお母さんて言いたかったの!」
「みんなごめんねー。私頭悪いからすぐ忘れちゃうんだよ。次また忘れたら教えてくれる?」
4人は泣きながら頷いた。
4人をなだめてからカナメは残りの石ゴーレム3体と建築の男の子が遊んでる花畑に向かった。
「主様。どうしました?」
「ごめんね。今まで我慢してたんでしょ?これからもよろしくねナナキ。」
ナナキと呼ばれた建築の男の子はビシッと固まると輝いた。
「水がルシル、土がコーラル、木がロッカだよ。」
カナメがしゃがみこんで一人ずつ頭を撫でながら名前を呼ぶと3体のゴーレムも光った後カナメに飛びついた。
「お母さん。俺ずっと」
「うん。ごめんね。ずっと一緒だよ。」
ナナキがカナメに飛びつくと女の子たちも一緒に飛びついて花畑は転がる子供達の笑顔と笑い声が溢れた。
イチカ達が帰ってきた時にはダイニングは子供達でワイワイと大騒ぎで驚いたのだった。
名前を貰ったと嬉しそうに報告に来る5人にイチカ達は大喜びだったが、急に子供になった驚きからトウヤ達は慌てたのだった。
ハルヒコが神事に向かう時に誰か連れて行きたいと駄々をこねてナナキとセツカを見習いとして連れて行く事に決まり応接室は大騒ぎになっていた。
「ハル、いいか。ナナキとセツカは中級だ。レベルは10まで上げたがイチカ達とは違う。絶対に守れ。」
「わかってるよー。俺だってここの子供達はみんな自分の子供だと思ってるからね。俺に何かあったら聖域まで走ってもらうよ。それが一番安全だからね。」
「お父さん俺も行こうか?旅してみたいなぁ?」
「ミツバはだめだ。お前はハルそっくりだから別の問題が出てくるだろう。」
アキラに怒られながらふてくされる様に頬を膨らますミツバにハルヒコは嬉しそうに笑っていた。
2章 終




