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日が昇り同じように身支度を整えた後また折りたたんだ紙を広げる。
「聖域と不老不死はわかった。後はこれだねゴーレム形成。」
ゴーレム=石でできたロボット
カナメの知識などそれくらいしかない。
そんなに頭も良くなく本などほとんど読んでなかった。時々アニメを見たりはしたがそこまでのめり込むものには出合えなかった。
「私本当何して生きてたんだろう?」
家族も友達も覚えてない頭の中は基本的な生活の繰り返しをした記憶しかない。
「せめてもう少し早く目が覚めてたら説明とか聞けたのかなぁ」
カナメは森の中を歩きながら手に石を集めて回った。森を何度か歩いて集めた石をロボット型に並べてみる。
「頭は大きめの石ね。後は手と足で、これでいいのかな?」
小さな石の並びを見下ろして満足げに息を吐いた。そしてしばらく眺めていた。
その日石の塊はゴーレムにはならず土の上に並んだまま夜を迎えた。いつもの木の下でいつゴーレムが動いてもいいようにカナメは座って石を見ていた。そして気が付けば朝を迎えていたのだった。そしてまた一つ気が付いた。
「わかった。私寝なくても生きていける。」
ちっともうれしくなかったがここから出られないより衝撃はなかったらしく気落ちすることもなくまた一日が始まるのだった。
「なぜ動かないんだろう?石が足りない?でも説明がないんだもん。ゴーレム形成しか載って、うお?」
ゴーレム形成と口にした瞬間体から何かがズルッと引き出された感覚がした。
ほんの少し石の塊が光るとむくっと立ち上がるようにその塊は起き上がった。
「え?動いた!やった。私ゴーレム作れた。」
寝床から飛び上がるように近付いてしゃがみこむ。膝ほどの石のゴーレムが体を揺らしながら私の方を向く。
「君動ける?」
カナメの問い掛けにゴーレムは頭の石を縦に揺らす。カナメはそろりと手を伸ばすと小さな頭の石を撫でた。ゴーレムも両手を伸ばしてカナメの指先に触る。
「これからよろしくね!」
飛び切りの笑顔でカナメは挨拶をした。
そして翌日ゴーレムはただの石の塊となり起きたカナメの横に積み重なっていた。
「マジか。」
さすがにちょっと泣きそうだった。カナメは崩れた石をまた同じように並べるとゴーレム形成と声をだす。すると昨日と同じように少し光りむくりと立ち上がった。
「君は昨日の子と同じ子かな?」
ゴーレムはまた頭の石を縦に振ると同じように指先に触れた。




