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「カナメちゃんどうした?」
コップを何とも言えない顔で眺めるカナメにハルヒコは不安そうに聞く。
「あ、なんかうまく言えないんだけどこっちにきてなんていうか、感情が動かなくなった気がして。昔だったらアルバム見る時とかでも懐かしいって思いながら見てた気がするんだけど、そんな気持ちが消えたっていうか。」
トウヤはジッと苦笑いを浮かべるカナメを見て、少し考えこんでからハルヒコに振り返る。
「これって女神の加護じゃないか?」
「あ!そうだよ。カナメちゃんそれ女神の加護発動してない?」
きょとんとした顔で2人をみて首をかしげる。そのカナメを見て2人も同じように首をかしげた。
「あれ?女神の加護じゃないのか?」
「女神の加護?」
無言の空間が過ぎる。
「え?カナメちゃん女神の加護持ってないの?」
「それが何かわからないんだけど。」
「いや、ステータス見たら載ってなかった?」
「ステータス?」
「「えー!!!」」
ハルヒコが机を叩いて立ち上がるとトウヤは頭を抱えて机に突っ伏す。
「やばいやばい。」
「カナメちゃん!スキル知ってたよね?ステータス見たからじゃないの?」
ずいっと近付いたハルヒコから少し後ろに反れるように離れるとカナメは落ち着くように2人を座らせる。
「スキルとか書いた紙。それを私ここに来た時持ってた。聖域と2枚。私のスキル以外消えてたからこれがスキルかーってわかったんですが。」
ごそごそとボロボロになった紙を机代わりにしていた木の隙間から出して2人に見せる。2人はのぞき込んでギョッと目を大きくさせた。
「これ俺のスキルじゃんか!」
「え?俺のだよ。治癒魔法ってあるでしょ?」
「え?ゴーレムって書いてませんか?」
3人は顔を見合わせて不思議そうに何度も紙を覗き込む。
「女神様のところにあったやつだからかな?見た人のスキルが分かるように魔法がかかってるのかもな。」
「不思議ですねぇ?」
「とりあえずこれだけでもカナメちゃんのところにあってよかったよ。じゃないともっとひどい生活になってただろうしね。」
クシャッと笑ってハルヒコはカナメに紙を返した。そしてステータスオープンと小さく呟くとハルヒコの前に半透明な画面が出てきてカナメはポケッとその様子を見ていた。
「カナメちゃんこっち見てこれ俺のステータスってやつでスキルとか加護とかいろいろ個人情報が載ってるやつね。これカナメちゃんも出せるはずだから。」
カナメが立ち上がって回り込み画面をのぞくとなんだか昔みたゲームのような画面がそこには写っていた。




