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「とりあえず無事でよかった。俺はアキラ知の国に所属している。」
すっと手を差し出した男は紺色のローブを着ていた。カナメとあいさつを交わすとじっとゴーレム達を見つめる。
「この子達はゴーレムなのに動きが人のようだな。それより拠点に行ってもいいか?」
「そうだね。シスター用だけど服を少し持ってきたんだ。拠点で着替えた方がいいかな。」
3人を連れて拠点まで数分歩く。カナメが嬉しそうなのでゴーレム達もカナメの回りをグルグル回りながらはしゃいでいる。
そして拠点で2人は崩れ落ちたのだった。カナメは何度も謝る2人に大丈夫と言い続けて落ち着くまでに疲れ切ってしまった。
「不老不死が付いてたし聖域だから死なないからと後回しにした俺が悪かった。」
ハルヒコが泣きながら何度も謝る。
「そんなにひどくないよ?雨も降らないからここで寝れたし、虫もいないしこの子達がずっと一緒にいてくれたから。」
「人としてこれはない!俺らが衣食住問題なかったからカナメちゃんもそうだと思ってたんだ。」
ハルヒコガバッと顔を上げてカナメと目が合うとまた泣き始める。アキラは立ち上がるとトウヤを振り返る。
「トウヤ、俺一度国に戻って家取ってくる。これはひどい。」
ぎろりと睨んでアキラはスタスタと歩き出した。トウヤはなんもないって言っただろとか反論してたがカナメの状況が悪すぎた事には反省しているらしく声に力はなかった。
「カナメ、ここに転移が出来る陣を作る。これがあれば俺の国に一瞬で行くことが出来る。」
「アキラ、俺の国にもつないでくれ。時間は惜しい。」
カナメはただ頭を縦に振って2人を見ていた。アキラはコクリと頷くと簡単に陣を3つ並べた。
「アキラ!行く前に持ってきた服とか全部置いてって!カナメちゃんこのままじゃみてられない。」
そうだったとアキラが何もないところから服やら鍋やらガッシャガッシャと積み上げていく。
じゃっと手を上げて陣に乗ったアキラが消えた事にびっくりしてるカナメを横にトウヤ達はゴーレムに荷物の整理を教えていた。
「私も手伝います。」
「カナメちゃんはとりあえず着替えようか?ウエストで調整できるシスターの服だから簡単に着られるよ。後は、奥さんに聞いて持ってきた肌着がこれ、中は見てないけど多分あっちと変わりないはずだから確認してくれる?」
奥さんの言葉に一瞬聞き返そうと思ったが真っ白のワンピースのような服と片手で持てる巾着を渡されそちらを優先する。そして山の中からトウヤが靴を探し出して持ってきてくれた時にはカナメは白いワンピース姿になっていた。
「カナメちゃん荷物はアキラが帰ってきてからもう一度分けようと思う。とりあえず出来合いだが食事も用意出来たから食べよう。」
前回トウヤが持ってきた机の上にはパンとカップが乗っていてカナメは久しぶりに見たパンとコップに何とも言えない顔をした。




