帰れよ!
「帰れよ」
1人の男の声が小さな部屋に響き渡る。おそらくここはこの男の部屋だと思われる。
「で、でも・・・・・」
もう1人の眼鏡をかけた男は言葉に詰まる。
「だから帰ってくれって!」
もう1人の男が苛立たしく怒鳴った。
何故こんなことになったかと言うと、見れば分かる。
「ボクは帰りたくないんだ」
眼鏡をかけた男も怒鳴った。こちらもイライラして来たんだろう。そして、
「君にはボクが必要なはずだろう?」
眼鏡をかけた男が何かを言い出した。
だが、それはもう1人の男の怒りを逆撫でするだけだった。
男は激しく怒った。
「君にはボクが必要?ふざけているのか、君が来た日から僕の穏やかな日は終わりを告げ、毎日、そう。毎日だ!毎日僕は何かしらのトラブルに遭った」
そして、
「で、その度に君は助けてくれた。けど、それは必ず失敗して結局は全て僕が尻拭いする羽目になった」
眼鏡をかけた男は涙を流しながら聞く。聞いた後に、
「確かにそれは悪かった。だけど、それは今こうなる理由にはならないはずだ」
だが、悲しいことにその言葉はさらに男の怒りを逆撫でした。
「君が来てからずっと僕は辛い思いをして来た。君さえ、君さえいなければ僕は幸せだったんだ。だから、さっさと僕の眼中から消えてくれ!!!!」
そう言った男の眼は泣いていた。
「君がそう思っていたなんて」
眼鏡の男がそう言った。
しばらくの沈黙が続いた。
そして意外にも、その沈黙を破ったのは眼鏡の男だった。
「ごめん、君に迷惑をかけていた事をボクは知らなかったんだ。ボクは君の幸せのために生きている。だから、ボクは!」
眼鏡の男は大粒の涙を流しながら言った。
そしてまた沈黙が続いた。
そして眼鏡の男が沈黙を破った。
「ボクは君の幸せのために今すぐ消えるよ」
その眼には涙がない。その代わりに決意の目があった。
もう1人の男は意外そうな目だった。
「さようなら。君との毎日はボクにとったら黄金の毎日だったんだ。でもそれが今日で終わるのは何だか悲しいけど、これでお別れだ」
待ってくれ、という眼を1人の男がした。
だが、それはもう手遅れだった。
さようなら
そうして2人の日々は終わりを迎えた。
眼鏡の男は男の家を出るまで決意の目だった。が、家を出たら涙と言う言葉では言い表せない程の大粒の涙を流したのだった・・・・・・・・・・・・・。
これはパラレルワールドの話・・・・・・・・・・・・・・・・・。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
私の同作品もお願いします。