間話 センターポートその後2
ラティ達が城を出て一年が経ったセンターポートは変わらずの賑わいだった。基本王の仕事は無い。やっていたのは、各領地からの報告や間者からの報告を確認するだけだった。
ここ城下町も例外では無く、王の信頼する貴族が収めていた。代官は、第一王子の婚約者、シース・ラ・セカンドピース公爵令嬢であった。
「王様もいつ帰ってくるのでしょうか?」
シースは、書類を片手に愚痴をこぼす。
現在城は誰も居ない。簒奪まで行ったアホデールも居なかった。一応シースは警備員だけは配置していた。
「全くもー、あのアホデールの所為で、王様が自由になるチャンス与えて!」
王は象徴と自負して、信頼なる貴族には自由に、
怪しい貴族は遠方で領地経営をさせていた。
税も各領主に任せて、上限を決めていた。
辺境に行くほど税が高く、近いほど安い。勿論領民はどんどん中央に集まる。
自分で自分の首を絞める地方貴族。今回の簒奪も中央の基盤が欲しかっただけだが、全く無意味な内乱であった。
内乱に参加した貴族は、すでにこの国には居ない。奴隷や平民として生きているだろう。
「この手紙出しておいて、あとこの間挨拶に来た伯爵に領地を与える事伝えておいて」
テキパキと書類を片付ける。
「王様帰って来たら、絶対に休みもらう」
侍女は、空いたカップに紅茶を注ぐだけだった。
「アホデール、貴様!何故ここに居る!」
名だけの公爵家、今は貧乏貴族。簒奪にて金を作り、借金をしてまで行ったのに成果は0。いいやマイナスという結果。
せめて城だけも確保しておけば、まだなんとかなったかもしれないが、やはりアホである。
「城には誰も居ないんだよ。メイドも執事も、料理長も、あんなところで暮らせないよ」
子供のような言い訳に義理の父はアホデールを殴りまくる。
「お前が、お前が居たからうちは没落したんだ!、死ね、死ね、死ね、死んで詫びろ」
アホデールは痛いとしか言えなかった。
「クソ!勝手にうちの金使い込みやがって、おい誰かいるか!」
「お呼びでしょうか?」
執事ではなく、全身黒ずくめの男が来た。
「ちょうど良い、こいつは今をもって廃嫡だ!借金のカタで売ってこい!」
「え、廃嫡?借金?僕は何もしてない」
「うるさい!黙れ!お前が買った女に、謝罪金いくらだと思ってるんだ!」
アホデールは勝手に女を買い、孕ませては金で解決して来た。身勝手な行動で、公爵家は風前の灯だった。そして、ここに追い討ちがかかる。
「おい!出てこい!嘘つき簒奪者!出てこなければ燃やすぞ!」
領民である。裏稼業に報酬も払わずのこのこと帰ってきたアホデールである。勿論報復である。
腐っても稼業を商いしてる者達、瞬く間に広がった簒奪の経緯に、税の使い方など領民が発起するには十分過ぎた。
公爵家一家は私刑になり、辺境の森に手足を切られ放置されてた。
のちに、シースは一家夜逃げとして正式に没落として新たな貴族が治めることになった。
そして、アホデールは、一年王座のアホ王として歴史に名を残しことになった。
奥さん「つまらないです」
師匠 「そうだな、もっと酷い目に遭えばいいのに」
黒子猫「それよりワシを洗ってくれんか?」
奥さん「黒でいいです」
師匠 「縁起悪いから出てこなくていいぞ」
黒子猫「酷いのじゃ」
奥さん「それじゃピンクです」
師匠 「それはそれでキモいだろ」
黒子猫「白でいいのじゃ、これでは他のと間違える」
師匠 「気が向いたらな」
奥さん「ピンクがなかったから紫です」
黒子猫「あまり変わらんのじゃ!」
師匠 「毒々しくて良くない?」
黒子猫「白にして欲しいのじゃ」
師匠 「次回まで時間があればな」
奥さん「次回は本編戻ります。『出発』です」
師匠 「長くなりそうだな、投稿」