三十五話 白い子猫
「真っ白です!」
これが噂に天の国でしょうか?何だか綺麗だけど気持ち悪いです。
「しかし私はこれからどうしたらいいのでしょうか?」
初めての場所には案内人さんが居てもいいと思います。
「全くじゃな、ワシも経験あるのじゃ」
誰?どこからか声が聞こえます。
「安心せ、姿は見えなくても、当たり前じゃ」
「幽霊さんですか。なら安心です」
「流石にあやつの知り合いじゃな、まあ良い暫し待て」
うーん、何が起こるのでしょうか?私も幽霊にされるのでしょうか?もう幽霊みたいなものでした。
「早くよこせ馬鹿者、帰ったら鰹節じゃ!」
何か言ってます。カツオブシ?喝を武士?何だかスパルタみたいです。
「良いか」
何が良いのかわかりませんが、頷きます。
「ここの記憶は無くなるのじゃが、まあ達者で暮らせ」
説明不足です!何がなんだかわからないままです。カツオブシってなんですか?
白い世界は黒くなっていきます。真っ黒な闇です。ただ一箇所だけ白いままです。子猫です。
真っ白な子猫。さっきの声がアナタなの?
「ラーメンライス」
久々です。自分の声で目が覚めました。しかしなぜラーメンライスなんでしょうか?七不思議の一つです。
「知らない天井です」
これはお約束です。言わないと話が始まりません。でもどこも同じような天井です。違いがわかりません。とりあえず言わないとダメです。
「だから、デートしましょう、ラティちゃんは他の子が面倒見てくれるから」
聞き覚えのある声です。確かギルドのお姉さんです。他のギルドの人に聞いたらもう崖から落ちてる最中だから必死と事です。
崖から落ちたらもうダメだと思います。だからヘルさんなんですね、飛行魔法使えます。
「黙れ、消えろ」
おー初めて聞きました。ヘルさんの冷たい声。
上兄様が喜びそうな声です。
ドアが閉まる音がしました。足音は一つです。
ギルドのお姉さん振られましたね。ガンバ。
「ラティ、目を覚ましてくれ」
もう目が覚めてますよ。でもここは感動的にいきましょう。そっとヘルさんの手を握ります。
「ヘルさん、おはよう」
「ラティ!!!!!!!!」
痛いです。タップです。私まだ体動かない。
「ラティ、ラティ、ラティ、ラティ」
うるさいです。そんなに連呼しないでも私はラティです。
「ヘルさん、痛い」
「すまん、でもよかった。目が覚めてくれて」
少し抱きしめる強さが弱くなりますが、まだ抱きしめられてます。
「ヘルさん泣いてます?」
首に当たる少し暖かい水のようなもの。
「泣いてない」
嘘つきです。でもあとがとう。こんな私のために涙流してくれて。
「ヘルさんもういい?」
「まだだ、もう少しこのままで」
仕方ないです。心配かけた身としては我慢が必要です。幼女に抱きつき大の大人。絵面は犯罪者ですね。
「ヘルさん、私ドラゴンさんに殺されたよね」
満足するまで疑問に思った事を聞きましょう。
「死んでない、生きてる」
まあ生きてるよね?不安になります。
「生きてるとして、ドラゴンさんは?」
「生きてる、間違いなく生きてる、ドラゴンは灰にした」
は?灰ですか?死ぬ?前にチラッとみましたが、灰に出来る大きさでは無いと思いますよ。って灰!
「ヘルさんお肉、お肉灰にしちゃったの!」
黒は美味しいさの象徴です。烏骨鶏がいい例です。
「馬鹿!!なんで、なんで、お前はそうなんだ、もっと自分を大事にしてくれよ」
あ、泣いてます。少し痩せましたか?
「ラティ、ドラゴンなら俺がまた狩って来てやる。だから」
「ごめんなさい」
素直に謝ります。お肉より自分ですよね。でもお肉は欲しいです。
こんなに心配してくれる人が居るんです。
「ヘルさんありがとう」
気づいてはいけないです。気づかない振りです。
いつからか芽生えたこの芽は大きくなってました。でも気づいてはいけないです。
でも今はヘルさんの胸で泣きたいです。生きてる事をヘルさんの胸の中で感じたいです。
師匠 「俺より早く出るとは生意気だ」
奥さん「名前でてないのに!」
白子猫「子猫では無い!〇〇じゃ」
師匠 「話に出たからって調子のんな」
奥さん「とりあえず黒く染めるのです!」
白子猫「止めるのじゃ、存在意義を無くすのじゃ」
師匠 「うわー」
奥さん「それより、ラティちゃんちょっと変わったね」
師匠 「それはそうだろ」
奥さん「チョロイン?」
師匠 「でも普通ならあり得んからな」
白子猫「ワシのおかげじゃ」
奥さん「責任取っただけでしょ!」
師匠 「まあ、次回が楽しみだな」
奥さん「そうです!〇〇〇に春?」
白子猫「次回予告なのじゃ!次回『兄弟愛?』じゃ」
師匠 「調子乗りすぎだ!」