三十二話 人命救助
「ドラゴンさん、ドラゴンさん、ドラゴンさんのお肉は、A7クラス」
「ゴブリンの時といい、どんな歌だ?」
気分です!それ以外何があるんですか。
昨日に引き続きまたダンジョンです。試験とは違い気合いが違います。待っててください、ドラゴンさん。
「ラティ達じゃないか?どうした?」
まだオッフェンさんが居ました。まだ探索してるのですね、ご苦労様です。
「ここに来てダンジョン以外ないだろ」
ヘルさんクールです。
「ちょうどいい、報酬出すから、行方不明者いたら助けてやってくれ」
あれ?監査人がいるので大丈夫ではないのですか?
「何があった?」
ほへ?ヘルさん何か感じたんですか?敏感ですね。
「ヘル、Sランク目指さないか?」
「それはどうでもいいから、何があった」
ヘルさんの話が本当ならすでにSランクですね。
Sランクの昇進条件が、4大ダンジョンの踏破ですから。一つ踏破するたびSが増えます。最高はSSSです。
4つでは無いかと思いますが、悪意のダンジョンだけは別です。あれは踏破は無理です。ヘルさんでも多分無理です。神の力が無ければ踏破不可とダンジョンの入り口に書かれています。
誰が書いたか未だ不明で、考古学世界の謎とされています。勿論最高階層が8階と言われていて、踏破は夢のまた夢どころか、封鎖の話まで出たダンジョンです。
「試験中、突然モンスターの強さが変わったんだ、いきなりで対応が出来ず生死が不明なんだ」
あ、そう言えば一時期上層でモンスターが出ませんでした。その影響ですね。
あれヘルさんものすごい汗かいてますよ。トイレは我慢しないでください。漏らしたら臭いです。
「ああ出来るだけ助けよう」
我慢しないでください。声が震えてますよ。発射したら、食わせますよ。
「ラティ行こう、早く!」
そうです早く行ってください。ヘルさんの情けない姿は見ないです。お金をもらっても見ないです
「おかえりです。スッキリしましたか?ちゃんと埋めましたよね、猫さんのように埋めましたよね」
「ラティ、トイレでは無い。少し話していいか?」
ほへ?真剣ですね。茶化すのは辞めましょう。
「実は・・・」
「ヘルさんの所為ですか!やっぱりネジを埋め込みます、後で好きなネジを10本買ってきてください、デザインぐらい選ばせてあげます」
最下層のダンジョンマスターを倒した所為で、一時ダンジョン内の魔力が不安定になり、強モンスターが出現したそうです。間違いなくヘルさんが原因です。
「ネジは勘弁してくれ、ラティの事だからマジで埋め込みそうだ」
「何言ってるんですか!埋め込みますよ。ネジが嫌ならボルトでも可です、ヘルンケンです。」
「なあ、ドラゴン狩りよりも人命救助でいいかな?」
流石に責任を感じてますね、私も鬼ではありませんよ。人の命は大事です。助けられるなら助けたいです。
「ありがとう、やっぱりラティは優しいな」
だから口説くな!変態紳士が!
「少し集中するから、待ってくれ」
うわ、すごいです。どんだけ魔力あるんですか?
視認できる魔力って初めてです。上兄様でも無理です。
「わかった、生存者は五名だ、後の五人は無理だろう」
少し泣きそうな顔です。悔やんでも仕方ないです。それに冒険者なんですから、緊急の対応が出来ない方が悪いんです。
「だから、今は助けられる命を助けましょう」
私はヘルさんの手を握ります。
「ありがとう、行こう!」
私たちは走り出します。命が消える前に。
師匠 「食べたな」
奥さん「お腹いっぱいです」
?? 「お主食っておらん
師匠 「奥さんの満面な笑みを沢山食っただろ!」
?? 「お主がそれでいいならいいのじゃ」
奥さん「でも、ダンジョンマスターも弱いよね」
師匠 「ヘルが倒せるくらいだからな」
?? 「あやつと比べたら全てカスじゃ」
奥さん「またあれと戦わなくちゃいけないんだよね」
師匠 「その話は別で話そう」
?? 「そうじゃな、ネタバレかもしれん」
奥さん「見てるかな?ここ」
師匠 「期待しておこう」
?? 「悲しくなるだけじゃ」
師匠 「なんか涙が・・、予告お願い」
奥さん「うん、次回予告。次回『赤い液体』です」
?? 「意味深な題名じゃ、誰か死ぬのか?」
奥さん「ネタバレ禁止!!!」