二話 定食屋 食わせろ
お兄様行かないで、私も一緒に連れって。
出来ればそのまま家庭を作りましょう。子供は五人くらい欲しいです。
何で苦笑いするのですか?お兄様。行かないで。
「お兄ちゃま」
またです。また自分の声で起きました。
小屋の中はもう明るいです。朝のようです。
周りを見ても男の人が見えないです。
一応、体の確認と。大丈夫そうです。でも安心は出来ないです。相手は収納魔法を使える魔導士です。
「おお、起きたか。歩けるなら外に来てくれ。朝飯にしよう」
男の人が部屋に入ってくるなり、朝ごはんを誘ってきます。いくら子供でも女性です。ノックぐらいしたらいいのです。
しかし、怒りよりお腹です。お腹空きました。
私は体の理不尽さを胸に外に出ます。
「何処ですか?ここ?」
てっきり森の何処かにある小屋だと思ってました。
森で倒れたから当たり前です。
でもここは違います。大きな湖の湖畔にある小屋でした。
ここまで対岸が見えない大きい湖は、隣国にある『ラファクレーター湖』です。
昔ラファという少女が、作ったとされる湖。
伝承では民の為に水ダメを作ったとされてますが、真実はどうも夫の浮気疑惑で激怒の末クレーターを作ったと事です。たまたま水が溜まり湖になったそうです。私の国は歴史がありますので、そういう書物も残ってました。今はどうなってるかわかりませんが。
「おーい、こっちだ」
男の人がテントを張ってる側で私を呼びます。
昨日はこっちで寝てくれたみたいですね。案外紳士です。
私がそばによると美味しそうな匂いがしました。
グロく無ければ良いですが。
良い匂いなのにグロいです。王族とは言っても貧乏国でしたので、平時の食事は平民の方と変わりません。パンにスープです。え、平民でももっと良いもの食べてる?いいのです。たまーーーにある晩餐会で食い溜めしてますので。
お兄様達には、「余ったら明日のご飯だから」
と言われて、三日分の所を一日分にしています。
「お前さんのはこっちだ」
蛇らしきものを齧っていますが、私用のは別だったみたいで、見た目は普通です。普通のパンとスープです。
「あー、店から買ってきたものだから大丈夫だろ」
店?どこに在るのですか?周りを見ても店どころか小屋が一つだけ見えるだけで、何もありません。
「あのー、どこにお店在るのですか?」
これは聞いておかなければなりません。今後の予定に影響があります。
「買った店か?ならあっちだ」
男に人は指を指します。湖を。
わけがわかりません!湖の中で売ってるとでも言うのでしょうか!
「あれ?見えない?ほらあれ、湖の反対側に在る赤い屋根の店、“定食屋 食わせろ”」
どこからつっこんだほうが良いのでしょうか?湖の反対なんて見えません。赤い屋根なんかわかるわけがないです。そして定食屋の名前が食べさせたいのか、食べられるのかわからない。
「まあ金は気にしないでとりあえず食え」
ご飯に罪は無いです。屋号にも罪は無いはずです。目の前で蛇を食べる事には罪に問いたいです。
美味しかった。パンは焼きたてのように柔らかく、中にはクルミを入れて香ばしさを増す工夫がありました。そしてスープは、極上です。多分お魚から出たエキスと貝らしき具がいい感じでマッチしていました。
おかわりと行きたいですが、湖に反対には声は届きませんし、食事も届きません。
「足りなそうだな、もう少し食べるか?」
蛇は入りません。差し出されてもノーと言います。私はノーと言える女性なのです。
「もしもし、さっきのやつもう2人前よろ」
何か言ってます。そしてどこからか先ほどの料理が二人前出てきました。
ダメです。これは夢です。夢で無ければ理解できません。それに『定食屋 食わせろ 真メニュー』と書かれた紙は何でしょうか?真なのですか新では無いのですか?とりあえず考えるのはやめて食べましょう。ご飯には罪はありません。
でもこの、真メニューの“人喰い貝の踊り食い”は
私が食べられそうで怖いです。
??「湖行きたいです。お魚食べたいです」
師匠「それでいいのか?名誉毀損だぞ」
??「お主メタっておるぞ」
師匠「宜しく特定してなし大丈夫だろ」
??「〇〇〇、今度作ってください、美味しそうです」
師匠「クルミもいいけど、練り込んで・・・」
??「お主、予告してから考えるのじゃ」
??「久しぶりにまともな事言ってる」
??「ワシはいつもまともじゃ!」
??「次回予告です、『変態紳士登場』」
??「変態紳士はお主か?」
師匠「後で雑巾絞りの刑な」
??「ニャー!すまんのじゃ」
??「次回も読んでくださいね」
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