二十七話 Aランク試験1
「今日はAランク試験だ。先に言っておくが、死ぬ事もある、それでも良いものだけ参加しろ」
オッフェンさんの開会の挨拶も手短に終わり試験開始です。
試験は個別でパーティを組むことが出来ないですが、試験場所は4大ダンジョンの一つであるBEDダンジョン。未だ未踏と言われている踏破は冒険達の夢です。
「あーここか。大したボスじゃなかったな」
聞きません。聞こえません。聞きたく無いです。
突っ込んではダメです。ヘルさんです。そうヘルさんです。落ち着きましょう。深呼吸です。
「ラティはドラゴン好きか?」
やめてください。お願いです。常識を壊さないで。夢は夢で良いのです。しかもなんですか?
『ドラゴン好きか』ってどう言う意味ですか?
恋ですか?そんな訳無いです。まあ食べてみたいです。
「試験は簡単だ、50層に有る“夢のカケラ”を取ってくる事だ、制限時間は一週間。無事に帰ってくること祈る」
一斉に皆走り出します。慌てても仕方ないです。ゆっくり行きましょう。ヘルさんは別ですね。そう言えば初めてですね、ヘルさんと別々なんて、なんか不思議な感じです。
テントに食料、水、回復薬と結構重いです。幼女にこれはきついです。
「嬢ちゃん、俺と一緒に行かないか?」
怪しいです。特に顎がダメです。砕いて良いですか?良い素材になりそうです。
「怪しい者じゃないよ、同じ冒険者さ。流石にこんな可愛い子を一人じゃ辛いだろ、助け合いさ」
うーん、どうするのが正解でしょうか?
1、顎を砕く 2、捻り切る 3、毟る
4、無視 5、潰す 6、燃やす
「ね、一緒に行こう、一人より二人だよ」
ウザいです。息が荒いです。臭いです。
とりあえず走って逃げましょう。やるなら下の層が良いですね。ここだと消える前に発見されそうです。
Bダッシュです。罠には注意です。
「ちょっと、待って」
良い感じに置き去りに出来ました。気を取り直して行きましょう。
「ファーー、そろそろ眠くなりました」
一人って寂しいですね、なんだかんだでヘルさんの存在は大きいですね。今は10層です。少しペースが遅いです。間に合うのでしょうか?
「ヘルさんはどこら辺でしょうか?予想ならもう帰ってますね。規格外ですし」
しかし、変態さんは多いですね。
「気づいてたのか?」
気づかない訳無いです。そんな臭い息してたら直ぐにわかります。
「なあ、ここで死ぬか、俺たちの奴隷になるのどっちがいい」
本当に変態さんです。こんな幼女を奴隷にするとかあり得ません。
「言うこと聞けば、痛いことしないぜ、まあ最初は痛いかもな」
ゲラゲラ笑ってます。下品です。
「びびって声も出ないか?でもちゃんと可愛い声出してやるさ」
「試験は良いんですか?」
「「「「ぎゃははは」」」」
「試験だってよ、この状況で試験だと、腹痛え」
「これ何だかわかるか?“夢のカケラ”だよ」
変態さんの一人がキラキラした石を見せびらかします。
「事前に調べて、他の冒険者に取ってきてもらって有るんだよ、今回お前のような奴が試験受けるって聞いたからな」
不正ですね、全く情報漏洩が酷すぎます。
「ほれ、早くこれを付けな、従属の首輪だ」
これも違法ですね。従属の首輪は所有禁止指定です。所有者は、死刑一択です。
「俺からで良いか?」
「馬鹿、ここじゃ他の冒険者に見つかるだろ」
「この先に死角になる窪みが有るからそこでだ」
「早くやりて、この間の事件で全然捕まえられないからな」
あーそう言うことか。人身売買の件以降かなり取り締まりが厳しくなったし、王様も力入れてたから、変態さんが爆発したのかな?
「それじゃやりますか」
私は一気に加速して、四人の足を蹴り飛ばします。骨が折れるいい音です。倒れた所で腕の骨を砕いていきます。
これでまな板の上の悪人です。
「いてぇよ、助けてくれ」
「腕が足が」
「あがががああああが」
「ゆるさねぇ、俺様をこんなにした事無いても許さねぇ」
ボキャブラリー無いですね、大体決まったセリフしか吐きません。
私は、地面に転がってる従属の首輪を持ち上げます。
「これ、なーんだ」
特別サービスの天使の微笑みです。
従属の首輪は、設定は簡単ですが、一つしかありません。先ほど変態さんが言ってましたが、ここではダメです。窪みに移動しましょう。
縄を足に掛けて、引き回しの刑です。ゴリゴリ削れていい感じです。泣いても、騒いでも良いですよ。最後ですから。
背中は血だらけですが、お腹は無事ですね。
「さて誰に付けましょうか?」
出来れば元気なゴミがいいですが、どれもゴミですね。よし、でかゴミに決定です。
体格が一番のゴミです。
「やめてくれ、出来心だったんだ、頼む」
「もう遅いです、諦めてね」
首輪をセットします。
途端に目から光りが消えます。
「では、隣のゴミの稚魚を食べなさい」
手も足も折れてるのに立ち上がって、ゴミの股間に崩れ落ちます。
「ぎゃあーーーーーーーーーー」
元気です。元気があればゴミにもなれるのです。
「さらに隣も行ってみよう」
「ぎゃーーーーーーーーーーーー」
どんどんいきますよ。
「ぎゃーーーーーーーーーーーーー」
「自分のも食べましょう」
『ゴキ』
背骨が折れましたね、それでも食べる凄いですね。
「じゃ、元気に死んでね、バイバイ」
私はゴミどもから“夢のカケラ”を頂いてさよならです。ゴミでしたが、偶にはいい事しますね。
さあ帰りましょう。
師匠「痛みを感じる」
??「毛が無い、まだ生えんのじゃ」
師匠「なんじゃ、これ」
??「お主よ、毛を、毛を生やしてくれ」
師匠「もしかして〇〇〇〇か?」
??「そうじゃ、抜かれたのじゃ」
師匠「キモい」
??「キモい言うな!お主の妻じゃぞ、やったのは」
師匠「正しいな、正解だからそのままな」
??「嫌じゃ、何故じゃ、何故ワシばかり・・・」
師匠「マジ泣きだ。可哀想になってきた」
??「(チョロいな」
師匠「声漏れてるぞ」
??「嘘じゃ、何も思っておらんぞ」
師匠「次回予告『Aランク試験2』」
??「無視はやめて欲しいのじゃ」