十五話 悪人飼育員
「盛り上がってきました。盛り盛りしてください。さあここからは更に上質な飼育員の登場です」
そろそろクズ貴族以外の登場みたいです。ヘルさんはまだ帰ってきません、何処で興奮してるのでしょうか?
「まずは、今回の目玉でしょ、とある国の貴族の血を引いてます。美貌も性格の極上です」
あら、何処の貴族様でしょうか?裸を見るのは失礼ですが、確認しなければなりません。
「どうぞ、ご覧ください」
司会者が大袈裟のパフォーマンスをしますが、誰も出てきません。
「どうぞ!」「どうぞ!」
虚しい司会者の声が響きます。だんだん豚がブーブー言い出します。
司会者は、慌てて裏側に走り始めます。
多分ヘルさんですね、少しくらい連絡くれてもいいと思います。
「ちゃんと待っててくれたか、遅れてすまんな」
司会者の怒鳴り声が聞こえ始めたあたりでヘルさんが戻ってきました。でも遅いです。
「かなりの人がいてな、流石に困ったぞ。裸だと連れ出せないから、錬金魔法で服を作ってたら遅くなった」
またこの人は!簡単に錬金魔法使うな!何度目ですか?何で伝説級の魔法を使えるのですか!
「ここにはもう商品になる人は居ないぞ」
だからどうやって連れ出したのですか!また伝説級の魔法ですか?転移魔法とかですか?もう驚きませんよ。
「別に大した事では無いぞ、偽装魔法で透明化して歩いて出ただけだ」
間違いないです。この人犯罪者です。または予備軍です。お風呂とか絶対に覗いてます。首に鈴でもつけておきましょう。
「で、ラティはどうするんだ?やるのか?」
「その前にヘルさん、商品になる人は居ないと言いましたけど、他には何があるんですか?」
「ラティって頭いいの?」
失礼です!本当に失礼です!脳筋だと思ってるんですか!言いませんがこれでも王女でした。
それ何に教育は受けてるんですよ。貧乏でしたが。
私はありったけの力を拳に集めます。
「ごめんなさい。許してください、働きに免じて許してください」
綺麗な土下座です。芸術品です。この人は何度も土下座してます。よく今ままで生きていましたね。不思議です。
「で、ヘルさん、何が商品何ですか?」
「悪人だな」
人では無いですね。助けたく無いですが、どうしましょう?豚のこれ以上見たく無いですし、殲滅ですか?
「ヘルさんはどう思いますか?」
一応ヘルさんの意見も聞きましょう、お膳立てしてくれたのはヘルさんですし。
「そうだな、残ってるのは多分隣国の者達だな、助けても罪に問えなし、放置しても厄介だからな」
うん?何故悪人だと分かったのでしょうか?しかも隣国とまで?
「ねぇヘルさんどうして悪人だとかわかったの?」
「ああこれだ」
ヘルさんが一冊の本を出してきます。商品目録です。
「多分原本だな、詳細が載ってるから照らし合わせてみた」
凄いですね、よくここまで調べたものです。先ほど助けた幼女の詳細は少ないですが、容姿などは細かく記載されてます。私のは無いですね。
「で、ここの訳あり商品が残ってるの?」
「そう、見たところ貴族のもいれば、普通の平民も居る、ただやってる事は極悪だな」
うん確かに極悪ですね、手口も上手いです。
調べた人はかなり優秀です。雇いたいです。
「長らくお待たせしました、少々順番を入れ替えてご紹介いたします」
とりあえず続行するんだ。ちょっと様子見ましょう。助けたい人は助けましたし、喜びから絶望の落差がある程エネルギーが生まれます。
何のエネルギーかは知りません。
次々出てくる訳あり飼育員。見た目綺麗な女性もいましたが、口は汚いです。どうしたら次期女王とか出てくるのでしょうか?次期も今もありませんよ。ヘルさんあまり凝視してたら目を潰しますよ。
しかし豚どもは醜いです。雇った?飼育員と遊んでます。悲鳴や呻き声に混じって歓喜の鳴き声が聞こえます。
「ラティ、耳栓あげるよ」
だから遅いんです!あるなら先に渡してください。しかし、私見た目幼女なのにここに居て良いのでしょうか?ヘルさんどう思いますか?
師匠 「まだ俺の奥さんには見せられないな」
?? 「気にせんでもいいじゃろ?」
師匠 「目が穢れる」
?? 「そう言いつつも自分のと・・・」
師匠 「そうか、そんなに飛びたいか」
?? 「飛びたくは無いのじゃ、お主一人になるぞ」
師匠 「別に一人で構わない」
?? 「それより、妻に会いに行かんのか?」
師匠 「そうだな、じゃ任せた」
?? 「行ったのだ、またワシ一人じゃ」
?? 「次回予告じゃ『緑登場』じゃ」
?? 「意味がわからないタイトルじゃの」