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ようこそ、モルガド家へ

 私は黒装束に身を包む。

 今日はバリー王の誕生を祝う夜会であり、私が死んで一年経った命日。

 次々とバリー王を祝うために貴族がやってくる。


 キースさんの姿があり、ガントルさんたちもどうやら呼ばれたようだ。

 救国の英雄だなんて呼ばれてる。なぜそう呼ばれてるんだ。


 私が覗いているとバリー王が声をかけてくる。


「そう構えるな。お前はもう精霊なんだろう? 人間の都合なんて関係ない存在になったんだ。気にしないでいけ」

「バリー王が出した案って結構大騒ぎになりますけど」

「刺激的でいいだろう? そろそろ来る頃だ。隠れていろ」


 と私は影に隠れる。

 キースさんたちがバリー王のところにやってきた。


「バリー! お前暗殺者に狙われそうって……何したんだよ」

「ははは、わからん。俺を恨む輩は沢山いるからな……」


 バリー王子は私に目配せしてくる。


「だが、本当はな、殺されるのは俺じゃない。お前だよ」

「……は? 冗談よせよ」

「前々から思っていたのだ。お前が邪魔だと。自らの誕生会で画策しただなんて誰も思うまい?」


 バリー王演技上手。

 私はキースさんの背後に回り込み、口元を押さえつけ、ナイフを突き立てる。


「バリー、てめぇ……!」

「ふん」

「こんなもんで俺が殺せるか!」


 キースさんは私をねじ伏せる。


「どれ、殺してやる前にお前の顔でも見てや……」


 と、私がかぶっていた覆面を外した瞬間、キースさんは固まった。

 バリー王は耐えられなかったのか笑い出す。


「ドッキリ大成功!」

「だな! やったな!」

「へ? へ?」

「精霊王様によって精霊として転生しましたー! 再会するためだけにバリー王に頼み込んでこんな演技してもらったんでーす! どう? ビビった?」

「急だったから理由考えるのキツかったぞ! 見事に騙されたな!」

「え、あ、え?」


 キースさんたちはポカンとしている。

 ノエルさんとミリアさんがゆっくり、私に近づいてそして抱きついてきた。


「エレキ!」

「あっはっは。久しぶり? 私としては死んでからあんま経ってないんだけどさ」

「もう……」

「よかったです……本当に……」

「お別れの言葉もなしだったら嫌だからな」

「よく転生したわね! よく……」

「いやぁ、シャンバラ様が転生を選ばせてくれたんだよね。シャンバラ様最高!」

「シャンバラ様……!」

「エレキ」


 キースさんは言葉を振り絞って私に声をかける。

 私はゆっくりと次の言葉を待つことにした。私としても、キースさんに心配をかけた申し訳なさとか、あるし。


 私はキースさんに微笑みかける。


「……よく、帰ってきた」

「また厄介になってもいいですか? 厄介ごとだけど私」

「構わない。魔王も、あの異界の二人も、エルフもいるから、いまさらだ」

「あはは……」

「なぜか知らないがフルクもいる」

「なんで?」


 フルクもなんで住み着いてんの?


「今更増えたところでどうってことない」

「ですよね。じゃ、今日からお世話になります」

「ああ。ようこそ、モルガド家へ。私は君を歓迎しよう」













お付き合いありがとうございました。

多分これが投稿される前には新作が出てるも思います。次も異世界ものかそういうファンタジー書きます。またお付き合いよろしくお願いします。

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