私の人生、最悪だなぁ
ジュエル公爵邸には多数の馬車が停まっている。
もうなりふり構ってないな。ただ……ジュエル公爵家はたしか改革派ではなく親王派だったはず。
娘が王子の婚約者である立場でこんなこと果たしてするのだろうか……。
「キースさん、ジュエル公爵家って本当に関わってると思います?」
「いや……王になるのが目的ならルビー令嬢はバリーの婚約者なのだから同等の権力は得るだろう。ジュエル公爵家が改革派に加担する理由はない。それに、ルビー令嬢は帰っている最中だった……。家のことは知らないとなると、関わってる可能性は低い」
「ですよね」
とりあえず私たちはジュエル公爵家に突入したのだった。
ドアを雷で燃やし、中に入る。ノエルさんの匂いがしていた。
確かにここにいる。でも、なんか変な匂いがあの角にいる。
「とりあえず、二人を探すことが先決だ。匂いわかるか?」
「うーん、混ざり合いすぎて何が何だか……」
「そうか……。しらみつぶしに探してくしかない。そろそろ人が集まってくる」
「……私が引き受けようか?」
「エレキが……?」
「ここは三人で探してきてよ。集まった人たちは私がやっとくから」
私はこの場に集まってくる人たちを相手することにした。
中に入るにしてもデカいからな私。移動に時間がかかるんだよな。
だからここで少しでも人数を減らした方が早い。
「わかった。行くぞ」
といって三人は足音を殺しながら歩いていく。
それと同時に貴族の人たちやごろつきが集まってきた。貴族の一人は私をみて。
「こいつ、モルガドんとこの……。キースが近くにいるな? 中に入り込んだ! 直ちに排除……」
「させないっての。何企んでるかは知らんけど、こっから先は行かせない」
私は通路を塞ぐように雷を留まらせる。
触った人たちが次々に感電していく。これで追うことはできないはずだ。
私の毛は電気を放つからな。
「しょうがないから、殺す覚悟を決めなきゃな」
「ちっ、殺せ! その電気に触れるな! キースが来たということは既に王に伝わっている! 時間がない!」
「めんどくさいな……。もう人を殺してるし今更か……。よし」
私は思い切り放電する。
バチバチィ!と激しい音を立てた。私に襲いかかってきた人や、離れてない人全員が感電し、この場にいる全員が焼き焦げる。
初めてこの世界で人を殺した気がする。少し罪悪感はあるけど……。でも、やるしかない。私は魔物だから……魔物として人間を襲ってるだけだ。
「ここは終了……。放電したからキースさんに殺したのバレたか……」
と、呟いた時だった。
私の背中に何かが突き刺さる。
「んがっ……」
「なんで魔物風情がここにいんだぁ? せっかく俺が転生したってのによォ〜? いつから人間は魔物と馴れ合うようになってんだァ〜?」
私を剣で突き刺したのは前に見た子どもだった。
子どもは自分の背丈以上の剣を振りかざす。私の体を貫通した剣。傷跡からはポタポタと血が垂れる。
「勇者……」
「この勇者モトノリが魔物を始末して、この魔物を倒した報奨金を貰うかァ!」
「くそ、が」
私は電気を纏う。
雷を飛ばすが、勇者に避けられる。
「雷の力だと!? へぇ、実にいいじゃん! でもそんな程度の攻撃じゃ俺は倒れんよーん!」
ナチュラルに煽ってきやがる。
くそ、戦闘力に関しては私はど素人だ。雷の力に頼りきりで、雷の力があまり効かない相手には意味がない。
勝てるかといえば、勝てないと思う。でも……逃げることも無理そうだ。
「その深い傷でしんどいだろ? 今すぐ楽にしてやる」
と、勇者は魔法を唱えた瞬間、足元に魔法陣が現れて、何本もの針が私の体を貫いた。
あぁ、ダメだ。死んじゃう。私の人生、最悪だなぁ……。また殺されるのか。また、死ぬのか。
私は、そう思いながら意識を投げ出そうとすると。なんだか温かい力を感じた。
「うちの彼女に何してんのよ!」
「ウルァアアアアア!」
精霊王様と魔王様が勇者をぶん殴っていた。
あと数話!




