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人間は愚かなり!

 騎士団長の元で修行を積んでいる委員長。

 エルフのアンズの元で魔法の鍛錬に勤しんでいる大地さん。


 二人は着々と実力を身につけていた。

 二人とも運動神経や知能はそこまで悪くなく、物覚えがいいらしい。

 魔法に関しては科学の技術も少しあるせいか、どういう理屈で爆発が起きるか、などを理解している分ものすごい成長速度のようだ。


「生きとし生ける精霊たちよ、我に力を貸したまえ。ファイヤー」


 大地さんは習った魔法を見せてくれた。

 

「やっぱダイチは人がいいから精霊も好いてくれてるね! 精霊魔法を使える人間なんて初めてだよ! 人間が使う魔法より何倍も威力あるから気をつけてね」

「はい……!」

「委員長もだいぶ筋肉ついてきたな」

「それは鍛えてるからな。日本は平和だったからヒョロヒョロだったし、まず騎士になるには身体づくりから始めてる。剣って意外と重いんだな」

「そうなんだ」


 キースさんも騎士団長も軽々しく扱ってるがやっぱ重いよなアレ。

 騎士団長はキースさんの元から帰ってくる。


「許可を得てきた。いくら学んでいても実践を積まねば話にならんからな! 魔物を狩りにいくぞ!」

「はいっ!」

「や、やるぞ〜……」

「そんな気負わなくて大丈夫! 死にそうになったら助けてあげるから!」


 私も面白そうだからついていくことにした。

 王都の門を潜り、手頃な魔物を探していると。


「はーっはっは! 我は魔王なり! 勇者ども! ここで会ったが百年目ぇ!」

「なにしてるんだよ魔王」

「いや、異界から来た勇者なのだろう? 練習台になってやろうというだけではないか。この魔王直々にな? だから形から入ってみただけだ。さぁ、勇者ども! 我を倒したら世界の半分をくれてやろうぞ!」


 ノリノリで付き合ってくれるならこの魔王……。


「お前相手したらこいつら死ぬでしょ」

「問題ない。少しじっとしていろエレキ」


 そういうと、魔王は剣を取り出し、思い切り振りかぶった。私は思わず目を瞑るが、ガキィン!と甲高い音が鳴り響く。

 どうやら攻撃が当たらなかったようだ。私の目の前にはプロテクターのようなものがあった。


「我はこういうこともできるのだ! フハハハハハ! 殺したら人間の家に置いてもらえなくなるから死ぬようなことは提案せんわ!」

「ならいいけど……。やる? こいつと」

「やれというのなら……」

「……やる」


 二人は戦闘態勢をとった。


「の前にプロテクターをつけてやろう。じっとしているが良い」


 そう言って何か魔法をかけていた。

 委員長は剣を持ち、大地さんは魔法の詠唱に入っていた。


「フハハハハハ! この魔王に刃向かおうとする小虫どもめ! 我の力思い知るが良いわ!」

「魔王様ノリノリだねー」

「あれが本当に魔王なのか?」

「アレで魔王なんだなー……」


 委員長はまず剣で一撃。魔王には刃が届かない。

 大地さんも魔法を繰り出すが、掻き消されてしまった。殺しはしないが全力で相手はしてるな……。


「効かない!?」

「くそ、剣が……」

「ほら、どうした? 二人でもこの我を止めることはできんのか?」

「おちょくってるなら私も参戦して……」

「それはやめるのだ。きちんと相手はしている!」


 私が参戦するのはダメなのだろうか。


「なんで効かない……!」

「やっぱまだまだだな……僕は……」

「そうだ。一度自信を持っていてもへし折れる。へし折れて、また強くなるのが人間の美徳なのだ! 我から助言するのであれば……経験を積め。経験を積めば自ずとどこを攻撃したらいいか、戦闘の勘が磨かれるだろう!」

「だから経験を積もうとしていたらお前が現れたんだろ……」

「そうだな! だが、荒削りだがいい戦闘スキルはあるのだ。この周辺の魔物ではもう相手になるまい」


 魔王はそう分析したようだ。

 まぁ、たしかにみていて結構いいなーとは思っていたが。私より戦闘スキルはできている気がする。


「ま、無理に強くならずともこの王都には我も、フルクトゥスドラゴンも、ワーナガルムもおるから、そうそう危機は訪れまい」

「それもそうであるが……一番の敵は魔物ではなく、人間なのだ。彼らの力は異質であるから……欲しがる貴族もいなくはないだろう」

「自衛手段を持つことは大事だねぇー」

「ふむ。人間はなんと愚かなり!」


 愚かで結論づけたよこの人。










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