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魔王の実力

 魔王がキースさんの屋敷にやってきた。


「ということで、よろしく頼むぞ、人間!」

「…………」

「魔王である証拠なら見せてやるぞ! 魔物を扇動する姿が見たいか? それとも圧倒的な実力を見たいか?」

「……エレキ。少し外に出ろ」

「うす……」


 私はキースさんに外に呼び出された。


「なんでうちに魔王が来てんだ! 頼むよ、エルフだけでも割と面倒なのにまおうもくわわらせんな! 俺の屋敷は困った奴らを引き取る家じゃねえんだぞ!」

「ごめん……。魔王が人間の仕事をしたいっていうから……。それに、この魔王を復活させたのは多分あの公爵だし、人間と共存してる魔王の姿を見せて絶望させてやるのもありかなと……」

「……はぁ。国王に伝えなくては。バリーも国王様も最近心労がすごいのに。ぶっ倒れるぞ」

「一番かかってるキースさんが大丈夫だから……」


 キースさんは少し疲れた顔で魔王の元に戻って行った。


「それでどうだ? 我はこの家に置いてもらうならなんでもするぞ。嫌いな人間の殺害とか、嫌いな国家を魔物共に襲撃させることも可能だ」

「そんなことはしない……。わかった。許可しよう。ただ……あまり厄介ごとを起こさないと約束してくれないか。俺の屋敷に住む以上、殺人は禁止。人間のルールに従うこと。これが条件だ」

「ま、仕方ないだろう。住まわせてもらう上では当然のことだ。自己防衛以外では殺人は控えよう」

「それでいい。その条件を飲むのならここに居住することを許可する。だが……破ったらエレキに頼んで全力でお前を殺す。それでいいな」

「ま、魔王は人間の敵であるからな。それも仕方あるまい」

「物分かりいいな……」

「反発したらこちらが不利だからな」


 有利不利をはっきり認識している。

 魔王として、そう言うところを見ることはバッチリ見たい。キースさんの心労ヤバそう。


「了承したなら、部屋を与えようか。まだ客室が残っていたな……。こっちへ来い」

「わかった」


 魔王様はキースさんについていく。

 私もデカい体で移動はあまりできない。私の体はデカいからな……。車一台分はあるくらいにはデカい。

 ついていくことは難しいな……。私は庭にある自分の小屋に戻ることにした。


 戻る際、上を見ると鳥の魔物がたくさん上を飛んでいた。

 私はその鳥めがけて雷を放つ。鳥の魔物が地面に落下した。

 焼き焦げたその鳥を食べることにした。おやつだおやつ。雷の力ってすげー。


 でも、珍しいな。鳥の魔物がこんなにも集まってるなんて。魔王の力が呼び寄せてんのかな。

 私は雷を放ちまくり、この屋敷の上に飛ぶ鳥の魔物全て撃墜し鳥肉を骨ごと貪り食べた。


「あー、お腹いっぱい……」


 鳥の魔物を呼び寄せるなら雷で撃墜していつでも食べられるな。食べ物があっちからやってきてくれるとはラッキー。

 私は満腹のになり、眠ろうとすると各地に設置されてる拡声魔道具から声が聞こえてきた。

 

『王都付近に大量の魔物の影! 繰り返します……』


 王都付近に大量の魔物の影が確認されたと言うこと。その魔物たちは王都めがけて歩いてきていた。

 その音声を聞いてキースさんたちは表に出てくる。ミリアさんたちは武装していた。


「おい魔王! お前……!」

「うーむ、復活した我の魔力を感じ取り、我に忠誠を誓いにきた感じだな。我の魔力は抑えることができんから」

「笑ってる場合か! なんとかしろ!」

「了解! 魔王としての我は死んだのだ〜! 今更忠誠だなんてどうでもいいわ! 我は気分がいいから魔物全員皆殺しじゃあ!」

「それはそれで冒険者の仕事が激減するからやめろ!」


 この魔王、若干ハイになってないか?

 私も不安だからついて行ってみると、フルクが堰き止めていた。ブレスを吐いて魔物を消し飛ばしたりしている。


「魔王! なんとかしてよ! この数相手するの面倒くさいんだけど!」

「わかっとる! 今やるわ!」


 魔王は魔物の前に立ち、鎮まれと声を上げる。

 冒険者と戦っていた魔物たちの手が止まる。


「全魔物に告ぐ! 直ちに攻撃をやめ去れ! 我の怒りを買う前にな!」

「ま、魔王様……! やはり魔王様は復活してらしたのですね……!」

「お? 久しいなデュラハン将軍。この軍勢はお前が?」

「そうです……! 今こそ憎き人間の国を滅ぼし……」

「我はもうそんなつもりはない。お前も復活していたのは驚きだが、これ以上この国に迷惑をかけるならこの我たちが相手してやる」


 デュラハンがいた。

 デュラハンは魔王にそう言われ、魔王を驚きの目で見ていた。


「どうなさったのですか? 魔王様とあろうものが人間に味方するようなことを……」

「味方するようなことではない。我はもう人間の味方である。デュラハン将軍よ、引け」

「……人間の味方をするような奴ではない! ニセモノだ! 全員、この偽魔王様を殺せ!」

「話を聞かないか……。ならばお望み通り殺してやらんとなぁ!」

「仲間なのに殺すんだね……」

「私たちもやるかぁ……」

「人間の冒険者もエレキちゃんを見て安心してるねぇ……。僕も信頼を勝ち取ったみたい。ちょっといいもんだねこういうの」

「我も信頼されたい!!!」

「なら戦うしかないね」

「そうだな! 復活したばかりであるが魑魅魍魎であるお前らには負けんわ! 元四天王、デュラハン将軍ともども皆殺しの刑!」


 魔王は魔法陣を展開し、そこから黒い剣を取り出した。そして、そのまま大量の魔物の軍勢に突っ込んでいく。

 一撃で魔物を切り裂き、衝撃波を起こして周辺の敵を一掃したり。流石は魔王を名乗る実力はあるみたいで。


「ふはははははは! この我に下剋上を挑みたいと言うのならもっと実力をつけてこんか!」

「すげー」

「エレキ、雷を我に落とせ!」

「え、いいの?」

「雷ごときで我は傷つかん!」


 というので雷を放つ。


「サンダー、ソーーード!!!」

「うわ、ゲームみたいでかっけぇ!」


 サンダーソード。いいな。必殺技。












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